クラウドファンディングと特許について | 特許・実用新案 審査官の視点 & 弁理士の視点

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特許庁で審査官の実務を身に付けてきた弁理士が、様々な観点からつぶやきます。

本記事では、クラウドファンディングと特許についての質問について、以下の2点を説明します。

(Q1)クラウドファンディングに出すと、アイデアを盗まれませんか?

(Q2)クラウドファンディングに出すことについて、特許との関係で注意することはありますか?

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(Q1)自分のアイデアをクラウドファンディングに出して、資金調達を考えています。
クラウドファンディングに出すと、アイデアを盗まれませんか?

(A1)盗まれるという表現は微妙ですが、そういうこともあります。
アイデアを公開する以上、そのアイデアが他者に利用されることもあるでしょう。

<解説>
クラウドファンディングは、自分のアイデアをオープンにして、出資者から資金を集める仕組みです。
資金力の乏しい個人や小規模事業者にとって、とても魅力ある仕組みです。

しかし、今回の質問者のように、勘違いをされていることがあります。

クラウドファンディングで、自分のアイデアである!と主張している以上、他者が自分のアイデアを勝手に使うことはできないという勘違いです。

一般に、他者の行動(アイデアを勝手に使う行動)を「制限」するためには、なんらかの公の権利を持っていることが必要です。

単にクラウドファンディングに出しただけで、そのような権利を持つことはありません。

✓そのアイデアのポイントが、キャラクターなど著作権が絡む場合には、著作権によって他者の行動(模倣)を制限できることがあります。

✓最近、世の中で「パクリ」が過剰に批判される傾向にありますが、法的な根拠のない批判は、好ましくないと考えます。

ほとんどのクラウドファンディングの運営者も、アイデアの保護(知的財産権)について言及しています。

その多くは、アイデアを他者に利用されるおそれはあるが、クラウドファンディングには、それを上回るメリットがあると説明しています。

★クラウドファンディングと特許の関係

クラウドファンディングに十分なメリットがあるというのは、そのとおりだと思います。
本記事は、クラウドファンディングの仕組み自体を否定するものではありません。

弊所では、アイデアの保護を図るために、特許や実用新案の取得を提案しています。
(また、デザインの保護を図るために、意匠の取得を提案しています。)

クラウドファンディングに出す前に、特許や実用新案を出しておけば、他者にアイデアを利用されるというデメリットを最小限にできると考えます。

ちなみに、特許や実用新案は、原則として、クラウドファンディングに出す前(オープンにする前)に、出願を行わなければなりません。

話しが前後しますが、あなたがアイデアをオープンしてしまうと、原則として、あなたを含めだれも特許などを取れなくなります。

以上をまとめると、まず、特許や実用新案などを出願して権利を押さえ、その後、クラウドファンディングに出品するのが理想です。

出資者にとっても、きちんと権利を押さえてある方が、出資しやすくなるのではないでしょうか。


実は、クラウドファンディングには、もう一つ懸念があります。

上記とある意味逆の立場、すなわち、あなたがクラウドファンディングに出すアイデアが、すでに他者によって特許や実用新案などが取られている可能性があります。

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(Q2)自分のアイデアをクラウドファンディングに出して、資金調達を考えています。
クラウドファンディングに出すことについて、特許との関係で注意することはありますか?

(A2)クラウドファンディングに限りませんが、ビジネスを行う以上、他者の特許には十分気を付けましょう。

<解説>
あなたがクラウドファンディングに出すアイデアが、すでに他者によって特許や実用新案など(以下、単に特許と言います。)が取られている可能性があります。

この場合、適切に対応しないと、他者の特許を侵害することになります。

せっかく、出資者から資金が集められたとしても、特許のライセンス費用など余計な出費が生じることがありますし、最悪、実施が不可能になることもあるでしょう。

このような事態を避ける方法として、以下2つご紹介します。

(1)他者の特許を調査する

他者の特許を調査することによって、他者の特許に抵触するリスクを避けることができます。
また、他者の特許を調べることで、他者のアイデアを活用できることもあります。

特許調査はご自身で行うこともできますが、これからビジネスをやろうという忙しい時期でしたら、多少の費用を掛けてでも、専門家に任せた方がよろしいと思います(★1)

(2)自分のアイデアを特許出願する

ご自身のアイデアを特許出願して、特許庁の審査官に審査してもらうこともできます。
特許庁の審査官は、言うまでもなく、特許調査のプロ中のプロです。

(1)の調査をプロ中のプロにやってもらえることになります。

そして、特許が取れればもちろんベストですが、仮に特許が取れなくても、少なくとも他者の特許に抵触することはないと分かることがあります(★2)

(★1)弊所:東雲(しののめ)特許事務所でも、特許調査を行っております。審査官の知見を生かして万全の調査を行います。

(★2)あなたのアイデアと同一の特許は無いが、類似の特許が存在することがあります。この場合、あなたのアイデアは特許になりません。しかし、同一の特許が無いので、製造販売など実施することはできます。

なお、繰り返しになりますが、本記事はクラウドファンディングの仕組みを否定するものではありません。

むしろクラウドファンディングは、個人発明家・小規模事業者・起業家にとって、救世主のような仕組みです。

あなたのビジネスが、クラウドファンディングの適切な利用によって発展することを願っています。

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少しでもお役に立つ部分があれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。

東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営

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