日曜日は母の日
でしたね。その前日、5/12(土)には母をテーマにした
映画『KOTOKO』がフォーラム仙台で上映スタートしました。
仙台での公開初日ということで
塚本晋也監督がトークショーのために来仙!
その模様をレポートします

全部はお伝えできないのですが
(質疑応答が濃密すぎて、メモが追いつきませんでした
)雰囲気だけでも感じていただけたらうれしいです
そもそも、『KOTOKO』はどんな映画かというと…
唯一無二の存在感を放つシンガー、Coccoさんが
幼い子どもを懸命に守ろうとする母親を演じています。
世界が二つ見える彼女は、いつも不安を抱えたまま
我が子が無事であることだけを考えています。
ひりひりとした痛みを感じる映像の合間に、
姉家族や我が子と過ごす、穏やかでのびやかな
沖縄でのあたたかなひとときが流れます。
ある日、彼女の歌に惹かれたという小説家がやってきて
半ば強引に彼女の暮らしに入りこみ、
世界は一つになったように思われたのですが…
と、ここから先は実際に観ていただくのが一番でしょう。
では、この作品を塚本監督がどう生み出したのか?
監督「7年間介護していた母親を見送ったんですが、
その間、生まれた子どもが7歳になりました。
闇に吸いこまれていく命と、
逆に、闇からぽっと出てきた光と。
子どもを育てる母親(妻)が大変だったのを見ていますし、
母というものへの思いが
この映画を作ることにつながりました」
ところで、監督とCoccoさんとの出会いは?
監督「僕の映画『ヴィタール』でCoccoさんをイメージした
キャラクターを描いたのですが、その時に脚本をお送りしていました。
そうしたらある日、Coccoさんから歌を贈っていただいて、
この歌を映画にあげます、と。
ご一緒したのは、それが最初でしたね。
今回は、最初に
何でもいいから、Coccoさんの言葉を僕に浴びせてください、
というお願いをしました。
会話や詩のようなもの、いろいろな形で
Coccoさんの世界を感じさせてもらったんです。
その時、彼女から出てきたのが
私、二つ見えるんです。という言葉でした」
映画の中では、Coccoさん本人と
KOTOKOという役がほとんど一体化しているかのような
生々しい表現に驚かされました。
監督「アドリブはほとんどなくて、ほぼ全部脚本に書いてある。
その意味で、あそこまで自然に演じることができるのは
本当に驚異的です。
沖縄のシーンだけがいわゆるアドリブ的なところですね。
Coccoさんから聞いた話やインスパイアされたものが元になっていますし、
脚本の時に、Coccoさんが違和感を感じた部分を指摘してもらって
そこを全部直しているので、
彼女の中では感情やキャラクターが一本化しているんです」
シリアスな場面なのに思わず笑いたくなるような
独特の間や表現が出てくるのも、塚本作品の特徴です。
監督「裏では、ドリフやろうね、というのもあったんです。
派手にコケてみたりとか、怖がっていいのか笑っていいのか
わからなくなるような描写もあります。
観てくれた方から、恐ろしさと可笑しさって紙一重ですよね、と
言ってもらうこともあって、そうかもしれないな、と思います」
衝撃、バイオレンス、おかしみ、無償の愛、
爆発する感情、色鮮やかなセット、そしてCoccoさんの歌声。
スクリーンに広がるのは
「映画でなくては表現できないもの」の塊です。
簡単には受け止めきれない、なにか大きくて重いものを
監督から投げられたような気がしました。
時間が経つにつれて、あれはこういうことだったのかな、と
何度も思い返すことができる映画です。
仙台では6/1(金)まで(の予定)、フォーラム仙台での上映です。
詳しくは『KOTOKO』公式サイト、公式ツイッター、
塚本監督のツイッターなどもぜひチェックしてみてください。