サラバ
…って、最近ではすっかり聞かなくなった言い回しですよね。「オイラ」と並んで使わなくなった表現かも![]()
私が子供の頃には、ちょっと気取ったお兄さんたちは言ってたかな。
森田健作さんの影響もあるのかも。「さらば~、涙と言おう~♪」
※この歌を知っている方は、もうおじいさん(笑)
ということで、今回は直木賞受賞作品です。
西加奈子さんの「サラバ」 全3巻です。
まず、何と言っても目を引くのがこの表紙のカラフルなデザインですよね。
書店で平積みになっていると、結構目を引きます。
主人公の名前がまずインパクト強いです。「圷歩」。
一体何と読む?(笑)
これで「アクツ アユム」と読むんだそうです。
物語は、この圷歩くんの幼少期から大人になるまでを描いた作品なのですが、中でも特に重要な登場人物となるのが、アユムのお姉さん。
いわゆる「痛い子」で、クラスの中では悪い意味で目立ってしまう、それが故に苛めにあう典型的な少女です。
このお姉さんとアユムの関係が、幼少期、少年期、思春期、そして大人になってからと、微妙に変化しながら描かれています。
西加奈子さん自身も、中東で幼い頃過ごされていたそうで、そのため舞台はまず中東イランからスタートし、その後日本へ、そしてエジプトへと変化していきます。
複雑に変化する中東動静も背景として描きつつ、それに翻弄される圷一家、そして姉弟の姿が鮮明に描かれています。
表題の「サラバ」がどんな意味を持つのかは、上巻の最後に出てきます。この「サラバ」が、アユムのその後の人生においても、重要なキーワードになっていくわけですが、詳しくは作品をお読みください。
西加奈子さんの作品は、私はこれが初めてでした。「きいろいゾウ」や「漁港の肉子ちゃん」など、タイトルでインパクトの強い作品が多い印象ですが、なかなか手に取って読むまでは至りませんでした。
ただ、本作品を読んで、一つ一つのエピソードを実に丁寧に書いていく姿勢に感嘆いたしました。
是非他の作品も手に取ってみたいと思えた作品でした。
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書名:サラバ
著者:西加奈子
出版元:小学館文庫
初版:2017年10月
紹介文(文庫本裏表紙より)
僕はこの世界に左足から登場した―。圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。メイド付きの豪華なマンション住まい。初めてのピラミッド。日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことになる。
