聞く力 | 清水忍の「インストラクションズ」   
いつもは「伝える力」をテーマに書いてますが、今日は思う事あって

「聞く力」

のお話しです。

トレーナー専門学校の講義で年に1度

「トークお絵描き」というのをやります。


自分の「伝える能力」
の現状を把握し、
上手に「相手に伝える」
ためには何が重要なのかを理解し、その技術を習得するという講義です。
指導者にとっては重要な能力です。

方法はよくあるやつで、

二人で向かいあい、一人が相手に言葉だけで課題の絵を描かせるというものです。
Aさんだけが黒板に貼られた課題の絵を見て、絵を見てはいけないBさんに言葉だけでその絵の説明をして描かせるというやつです。

これはコミュニケーションの研修でよくやられているものですが、私が重視しているのはそこではありません。


私がやっているのは、何回か条件を変えながらやるのですが、

1回目にはトーク担当の人は、

描き担当の人が今書いている絵を見てよくて、
もしも間違った絵を書いているならすぐに言葉で修正できる
というものです。
また、描き担当はどれだけ質問しても良いというものです。


しかし学生の様子を見ていると、たいがいここでは描き担当からは

質問が出ず、

トーク担当の人に一方的に言葉で修正されています。

そしてまた違う絵を使って2回目を行います。
ただ、今度はトーク担当は描き担当が今書いている絵を見てはいけないという条件になります。トーク担当は条件が厳しくなったので当然さきほどよりもトークに熱が入るのですが、実はここで面白い現象が起こります。

たいがい、さきほどよりも描き担当の人の

質問量が増える

のです。

ここで私から学生にこの講義の取り組みの本質としてこう言います。



話し手は聞き手の理解度を確認しながら話しをしなければなりません。

相手が描いている絵が見えないと、相手の理解度がわからないから不安になったでしょう。相手の理解を高めようとして自然にトークが綿密になったはずです。
聞き手の理解度を確認しないで話していても、相手には伝わっていない事が多いという事ですね。

一方、聞き手は相手に自分の描いている絵を確認してもらえていないと不安になったでしょう。自分の理解度を確認してもらえないという事です。
だから、自分の理解度を相手に伝えるために、自然に口数が増え、質問も増えたはずです。

自分の理解度を相手に伝えないと理解できないまま話しが進んでしまう可能性があるという事です。

すなわち、

話しというのは話し手の「話し方」は当然大切なのですが、実は聞き手の「聞き方」も非常に大切なのです。

自分がどれだけ理解しているのかを話し手に伝える努力をすれば、話し手からもっと詳しい話しが聞けるのです。

だから、学生のみんなも、先生に対して自分の理解度を示すために、
先生の話し方が悪ければ「何が言いたいのかわからない」、
先生の話しが早すぎたら「早すぎてわからない」、
先生の話しが難しすぎたら「難ししぎてわからない」と言わなければなりません。

そして指導者はそう言われないように日々、話し方を磨く努力をしなければならないのです。

相手に「聞く力」を持たせるもの、話し手の力量でもありますので!