ネックポケットと音(や鳴り)との関連についての考察
ストラト日記 ただいま鋭意努力中
よくコメントを頂くブロガーさんから、ネックポケットの精度や締め付けトルクが鳴りに影響しているのでは?と言う意見を頂いたのを機会に、ストラトを中心に自分なりの考えを少し書いてみようと思います。



その前に、例によってお断りをさせていただきます。
良い音に定義はなく、自分自身が良いと思えば良い音であると私は考えています。
ですから、あくまで私見の範囲ですし、一部不快に思われる文章が有るかもしれませんが、笑ってスルーしていただければ幸いです。




まずは、手持ちのギターのネックジョイントの写真です。





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1960年製ストラトキャスターです。
プリCBS時代のネックポケットは隙間無く、精度の高さを伺わせる作りです。








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1963年製ストラトキャスターです。ネックデイトは1962年でボディーは1963年製です。
フェンダーのギターにはよく有る事で、ネックとボディーの製造が激しいと数年違う事も有る様です。
しかし、ネックポケットはまったく問題なく、元々のパーツごとの精度がある程度の水準に達している事が伺われます。
ちなみにこのギターは私のメインギターでもあります。








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1965年製のストラトキャスターです。
CBS譲渡後のトラディションロゴのモデルですが、部品の多くはプリCBSのもので、当然精度に問題はありません。


上記3本は私のお気に入りのギター達です。この時点ではネック精度はギターの音(や鳴り)と正の相関がありそうです。








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1974年製のストラトキャスターです。センターピックアップがダンカンに変わっていますが、それ以外はオリジナルです。

ネックポケットがネックとまったく合っていないのがおわかりになるでしょうか?
正直、某中国製のギター以下で失笑ものです。

しかし!。良い音がするんですこれ。
リッチーやイングウェイもこの時代のストラト使ってましたよね。

うーん、必ずしもこの辺の精度と音は関係ないのでしょうか?





このギターについては、もう一つ面白いことが!。




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この年代は3点ジョイントなんですが、これが精度が低くてタイヘンなんです。
ネックをもってスタンドから持ち上げよう物なら、ネックがグイっと傾きます。
それだけじゃなく、ノリノリでチョーキングかましたりすると、その瞬間にネックがグイっと傾くんです。
最初は我慢してましたが、耐えきれなくなって、3点ジョイントを4点に変更しました。



すると!


鳴らなくなったんです。このギター。



うーんネックジョイントの方法はギターに影響する?
すると締め付けトルクがギターの鳴りに影響するって話も本当?








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1979年製ストラトキャスターです。
一応25周年アニヴァーサリーモデルですが、もはやビンテージかどうか微妙な年代です。

組み付け精度は例によって最低レベルですが、もとから4点ジョイントなので、ネックが動く事はありません。
解りにくいのですが、ジョイントプレートがボディーに食い込まない様に、ゴム(プラスティック?)が挟んであります。

で、鳴りは?です。生音は小さいし、ボディーは全然響かない。
しかし、アンプに通すとそれなりに良い音がします。
逆に言うと60年代のストラトには出せない音がする!。好きな人は好きかも。








ここまで1960年代以降のビンテージ系ストラトキャスターのネックポケットをご紹介してきました。
それでは他のモデルは?ということで、テレキャスターについても少々ご紹介を。








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1952年製テレキャスター、所謂ブラックガードです。
ポケットの精度はご覧の通り、70年代顔負けの笑えるレベルです。
ブロードキャスターのデビューから、約2年。職人さんもこの頃はまだ熟練していなかったのでしょうか? まあひどいレベルですが、音は、、、、、、、、、、、


音はグレイト!!です。リイッシューものとはまったく違う音がします。








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1968年製のテレキャスターです。
ピックアップが変わっているので、そこを考慮に入れて評価をしなくてはなりませんが、なんだかテレキャスターらしさが薄まっている印象です。
もちろんテレキャスの音では有るのですが、よりストラトよりというか、まっとうな音(笑)というか。
ネックポケットの精度は、この年代のストラト同様問題の無い物でした。








で、結局どうなのよ?


うーん。どうも精度の善し悪しは精神衛生上の問題は別として、あまり音には関係ないかも?








では、現代のストラトはどうよ?ってことです。




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2002年(だったけ?)頃のアメリカンストラトキャスターです。
所謂アメスタの後継機種です。
ネックポケットはマイクロティルト付きの4点ジョイントです。
精度は素晴らしく時代の変遷を感じさせます。

音も素晴らしい。

とは言え、1960年代、70年代のストラトとは全く違う音がします。
もはや同じストラトと呼ぶ事に抵抗さえありますね~。これは。








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マスタービルダー故ジョン・イングリッシュ作の1957年レリックストラトキャスターです。
上記のアメリカンストラト同様、ポケットの精度は全く問題有りません。


が、鳴るのか?このギター?
いや高かったんですよこれ。珍しく新品で買ったし。
マスタービルダー作だし、きっと鳴るに違いない。
私の耳が腐っているに違いない、、、、、、、、








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1979年製東海のシルヴァースターです。
私が初めて買ったギターです。SS36という一番安いモデルでしたが、ネックポケットの精度は本家フェンダーを大きくしのぎます。3点ジョイントですが、ネックが動く事なぞまったくなく、素晴らしい精度を誇ります。この時代は木も良いし、この値段でこのクオリティーならフェンダーが潰れそうになる訳ですね~。


音も素晴らしいですが、やはりフェンダーとは若干違う音がします。
しかしこれはこれで捨てがたい。思い出が,耳を曇らせているのだろうか?








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多分1983年製フェルナンデスのFST-90です。

ポケットの精度は上記の東海同様問題有りません。

しかし、別の個体ですがフェルナンデスでひどい個体に当たった事も有るので,このブランドにはやや懐疑的な私です(笑)










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フェンダージャパンのエアロダインシリーズです。
ポケットの精度は全く問題有りません。さすが現代のギターです。
また、ヒールレスジョイントになってます。

このギターは正直使われている材(木)のグレードは低く、電装系もかなりしょぼい物でした。
最近はUSAも含め、良い材を使っているギターが減りましたね。

電装~ピックアップは全取っ替えしました。
リアは反則のハムバッカー(ダンカンJB)ですが、それなりに良い音がする様になりました。
ハムの場合はシングルに比べ、ギター本体の鳴りがストレートに出にくい分、悪い部分も削ってくれるのでしょうか?








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ヴァンザントです。

加工・組み込み精度は評判通り素晴らしい物です。
正直いって、本家フェンダーを含めて最も組み付け精度が良いギターです。
個人的にはサーやタイラーよりも良いと思っています。

しかし、形状は54年のストラトに近い物で、1960年代の形状とは異なります。
どうせなら、しっかりコピーして欲しかったですね~。
しかし、恐らく音にはまったく関係ない部分でしょうけれど(笑)

当初はアニヴァーサリーストラト同様、ゴム(プラスティック?)がジョイントプレートに下に挟まってましたが、ルックスが嫌なので取っ払ってしまいました。
が、音の変化はまったく解りませんでした。ちょうど締め付けトルクで鳴りが変わるとか、ヴァンザントはトルクの管理をしっかりやっているとか、噂を聞いていた頃だったので、いろいろ締め付けトルクを変えてみたのですが、やっぱり良くわかりませんでした.

まあ、目一杯締め付けるのは音以前に、ネックが割れたりしそうだったので、あんまり激しくは閉め込んでいませんが、ネックが動くくらい緩めにしない限りは、あまり音の変化は無い様でした。





【ところで、、】
これを書くと、不快に思われる方も居るかもしれませんが、正直ヴァンザントに出会ってから、ビンテージ以外のフェンダーギターに興味が無くなってしまいました。


特にカスタムショップのギターはまったく買う気がしません。
鳴らない個体が多いし、塗装はげんなりするほど分厚い。
製品のクオリティーや使用している材が、あの値段とまったく見合ってないと感じるのです。









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バッカスのストラトコピー物です。
モデル名は失念してしまいましたが、これまた精度は素晴らしい。

音もフェンダーとは違う物の、なかなか捨てがたい良い音がします。



しかし、この辺りからボディー形状がメーカー間で、異様に同じになってきた気がするのですが、、、
それまでは結構、コンツァーの深さや、ホーンの丸みなど、メーカー間で個性が有った様に思うのですが。これなルーター等が同じ物を使っているからなのでしょうか?
それともボディー等の供給が同じメーカーからだったりするのでしょうか?
どなたか事情通の方、情報おねがいたします。















ここまで御付き合いいただいた皆様に感謝いたします。

結論ですが、精度や締め付けトルクなどが音(や鳴り)に関連するという事は否定はしません。
実際そう思われる例を経験致しましたし、同様の話もよく聞きます。

しかし、前述の如く関連がなさそうな案件も経験しております。
ですので、ケースバイケースという結論であります。


オチがなくてタイヘン申し訳有りません。いやホント済みません。怒らないで~。







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しかし、ネックジョイントの問題が大きいのなら、セットネックのギターの立場はいったいどうなるのだろうか?



謎は深まるばかりでした。