北大江たそがれコンサート | Sono's

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昨秋、北大江たそがれコンサートが20年の歴史に幕を閉じたことを

後になって知った。このコンサートは2006年から始まったらしく

毎年10月に大阪市中央区にある北大江公園周辺の楽器店や

飲食店で1週間コンサートが行われるというもの。

 

私はこのコンサートに恐らく2011年頃から毎年行っていたと思う。

最終日の公園での野外コンサートは無料だったのも魅力的だった。

大阪市の住民でもなければ、そこで働いていたわけでもなく、

その公園の近くにあるバイオリン工房でレッスンを受けていたので

コンサートの存在を知っただけだったけれど、割に初期の頃から

コロナのとき以外は毎年欠かさず行っていた。

が、昨年だけ行かなかった。

 

昨年は両親と義母が次々と入退院を繰り返して、

書類にサインするのに忙しかった。また、両親の今後について

真剣に考える必要があり音楽の世界から現実の世界に

どっぷり浸かることになってしまい夢を見る暇がなかった。

まさか行かなかった昨年が最後のコンサートになるとは知らなかった。

 

終わってみると、初期の頃を思い出す。

秋の肌寒い夜の公園でライトアップされた壇上に

美しいドレスに包まれたフルートとハープの女性がふたり。

フルートの音色に合わせるように、オレンジ色の葉が静かにゆっくり、

くるりくるりと舞い落ちていくのを見て、

ああ、今年もコンサートに来れて良かったと思ったりした。

暗闇の中で光に照らされた葉のあの美しさはずっと忘れないと思う。

 

夜1人で出かけると、なぜあんなにも嬉しかったのだろう。

やらなければならないこと全て放り出して、地下鉄に乗って出かけ

自由の名のもとに本当の自分を取り戻したような気持ちになったのだろう。

家から離れ、日常から離れて非日常を味わうことができた。

非日常が毎日続くと、それは日常になるのだけれども、

毎日が非日常だったらどんなにいいだろうか。

毎日コンサートに出かけて音楽三昧。

生活に必要なあれやこれやは全部忘れて、

義務や責任という言葉の意味すら忘れ

好きなことだけして過ごせたら良いのになぁ、と

そんなことを考えてしまうほど魅力のあるコンサートだった。