庭にラベンダーを植えたのがおととしの冬のこと。これは、一昨年度に小学校で
施設副委員長をした際に、学校の花壇に植えてあったもので、いらなくなったものを
もらったもの。施設委員は学校の花壇に花を植えて綺麗にするのが主な仕事で、
他にも扇風機の掃除などあるが、圧倒的に植物の世話が多く、私にはぴったりだった。
学校内に3つ花壇があり、そのうち一番広いが東向きのやや日当たりの悪い
ところにラベンダーを植えることになった。世話をしても他の花は元気だったのに、
ラベンダーだけ一度も花を咲かせず、全く大きくならず葉の色も悪く枯れかけているように
見えた。最後の花の植え替え時に捨てられる運命にあったラベンダーをもらってきた。
花壇の花は季節ごとに入れ替える規則になっていたからだ。
ラベンダーを育てた経験がないから、ちゃんと育てることができるか自信がなかった。
すぐそばにあるアスパラと同じように水やりをして見守ることにした。全然元気のない状態が
しばらく続いたが、気にせず水やりを続けていたら、いつの間にか葉の色が良くなり、だんだん
増えてきたように思えた。しかし、昨年の春には花は咲かなかった。それでも、ずっと水やりを
続けた。そしたら、ついにこの春、紫の花を咲かせた! あんなに小さくて元気のなかった
ラベンダーがここまで広がって花を咲かせるとは私も思っていなかったので、ラベンダーの
生命力に驚くと共に諦めずに水やりを続けて良かったと、しみじみと紫の花を眺めた。
学校の花壇の世話は施設委員全員で交代で水やりをする。夏の暑いときは、毎日水やりを
しないと枯れてしまうため毎日学校に通わなくてはいけなくなるが、それが大変であるため、
夏休み中だけ委員長と私の二人で前半、後半と手分けして毎日学校に通うことにした。
夏休み中の小学校は静かだった。夕方、一人で花壇に水やりをしていると、大量の蚊に
襲われたり、西側の日当たりの良い花壇の大量の雑草を抜いたりと、思わぬ出来事に
遭遇しながらも、静かに一人で黙々と作業するのは楽しかった。職員室での仕事を終えた
先生方はもう帰ってしまい、警備員さんも帰宅したらしい。ほとんど人がいなくなってしまった
静かな学校で3箇所の花壇の水やりを終えて、日中の信じられないような暑さからやや解放
され、西に少しずつ日が沈んでいくのを楽しみながら、今日もきちんと水やりを終えたという
達成感に浸りながら校内を歩き、私も帰宅した。
つい最近のことなのに、普段は知ることのない学校の静けさや広い校内を歩いて3箇所の
花壇をまわった事、あの時に見た夕焼けを思い出した。つい最近のことなのに全てが
すでに懐かしく、どうしてこんなに懐かしいのかと紫の花を眺めながら考えた。