うまくいけばいいと心から思ってる
……誰にとってもそれが最善の道だから
マオ「お前が俺の事を気にかけるなんて珍しいな」
エレナ「あんたとは何だかんだ古い付き合いだしね…。だから今日は特別にこれを用意してきたわ…」
エレナ「我が家秘伝の滋養強壮強化の赤マムシエキス…。貧弱で貧相なあんたの今後の唯一無二のパートナーになること間違いなしよ…。さあ…受け取りなさい…」
マオ「…おい…今の話を聞いて、どうして俺がそれを受け取ると思ったんだ?」
アリス(マオくんもう本当に大丈夫そう…)
アリス(よかった……)
アリス「?…確かそこはーーーー」
マオ「ありがとう。今のでだいぶ分かったよ」
アリス「え!?今ので!?」
アリス(…マオくん…本当に頭いいんだ…今のふわっとした説明じゃ…私…多分何も理解できない…)
^_^アリス「マオくんは何でもできて凄いね」
マオ「?アリスもだろ?」
アリス「私?」
マオ「昨日持ってきてくれたやつも凄く美味かったし、前に屋上で分けてもらったやつだって自分で作ったって言ってただろ?…俺はあんなに上手く作れないよ」
アリス「………」
マオ「ありがとう。作るの手間がかかっただろ?美味かったよ。本当に」
アリス「そう言ってもらえて嬉しい!よかった!」
アリス(…本当に嬉しい…。あれは…貴方に美味しく食べてもらえますように…って思いながら作ったものだったから…)
エレナ「あれ?ユウゴくん1人なの?」
ユウゴ「ああ、エレナちゃんか!お疲れ様」
エレナ「アリスは??一緒じゃないの?」
ユウゴ「今日はお互い個別で自主勉だよ」
エレナ「そうなの??」
ユウゴ「…邪魔するのも何だしね」
エレナ「?」
ユウゴ「いや、こっちの話」
ユウゴ「エレナちゃんはどう?前に試験勉強教えてほしいって言ってたけど…その後は…」
エレナ「ふふ…ふふふふふ…ふふふふふ〜〜」
ユウゴ「試験まであと少しだけどできる限り力になるから見せて?どこが分からない?」
エレナ「svooからsvoの書き換えの時にtoを使うかforを使うかどうやって区別するかわからなくて💦」
ユウゴ「第四文型を第三文型に書き換える時にtoを使うかforを使うかは動詞によってほぼ決まるからーーー」
ユウゴ「ーーの、場合の動詞は限られてくるから、これはそのまま覚えておくといいかな」
エレナ「ユウゴくんって英語も数学も得意なんだ〜♫文系、理系どっちもイケるって凄いわね!!」
ユウゴ「………」
ユウゴ「俺は数学は大の苦手だよ」
エレナ「へ?」
ユウゴ「ぶっちゃけ赤点は取らないってだけでいつも平均点ギリギリのラインだよ」
エレナ「え??」
エレナ「でもアリスに数学教えてなかった?アリスもユウゴくん凄く親切に教えてくれたって…。だからあたしてっきりユウゴくんは数学得意なんだと…」
ユウゴ「そう言ってたんならよかった。みっちり予習復習した甲斐があったかな」
ユウゴ「今回の数学、自分史上最高点が取れるかもな」
エレナ「えーっ!!クラスの平均点あげないでーっ💦」
ユウゴ「アハハ!俺1人頑張ったぐらいじゃ大したことにならないよ」
エレナ「だってユウゴくんその感じだと結構勉強したんでしょー!?」
ユウゴ「どうかな」
ユウゴ(…確かに…数学だけは今回受験勉強並みにやったな…)
ユウゴ(…それでもお前の足元にも及ばなかったけど…)
ユウゴ「…そーですねー。じゃあ…初のカツ丼お願いしまーす」
ケン「了解!カツ丼ねー!」
ユウゴ「…変なこと聞くんですけど…先輩、前に言ってたことありましたよね?演劇部内の女子は恋愛対象として見ないようにしてたって」
ケン「やだなー!オレの言ってたこと覚えてたんだ!?」
ユウゴ「あれって…"好きになりかけた人はいたけど理性で抑えた"って感じですか?それともビジネスパートナー?とかと同じで"演劇部に入った時点でそういう対象ではなかった"って感じですか?」
ケン「あらーっ!何か恥ずかしい事聞かれちゃってるなー!…でも特別にユウゴくんには教えてあげちゃう❤️」
ケン「オレの場合は"演劇部に入った時点でそういう対象として見なかった"って方が合ってるかもね…」
ケン「で…耐えきれなくなってどっちか…もしくは両方辞めちゃった…ってことも過去にあってさ。…演技が好きで入った部活だったろーに…って凄く歯痒かったよねー。当時のオレは」
ケン「だからオレは部活内には自分の色恋沙汰は持ち込みたくなかったんだけど…まあ、これもオレがチキンだからなのかもねー」
ユウゴ「チキン?」
ケン「本当に好きな人が出来て、その人を大切に思える自信や覚悟があったら、こんな理詰めで外堀を固めたりしないんだろーなって」
ユウゴ「理詰め……」
ケン「そういう意味では弱腰な奴だよ、オレって。まあ、オレにそんなラブロマンスなんかなかったけどね〜(笑)」
ユウゴ「………」
ケン「そういやユウゴくんは前に"好きな人ができたらガツガツいっちゃうタイプ"って言ってたじゃん?」
ユウゴ「あー…そういえば言ってましたね」
ケン「どう?今、好きな女子とかいたりするの??聞いたよ!初代ミスター白樺になったんだって??モテそうじゃーん❤️」
ユウゴ「好きな女子か……」
ユウゴ「……どーなんでしょうね」
ケン「やだー!そんな気になるところで止められたらオレ夜も8時間しか眠れないよー!」
ユウゴ「8時間って結構バッチリな睡眠時間じゃないですか?」
ユウゴ「………」(まあ…言ったところで分からないだろうから…)
ユウゴ「…俺が気になってる子は…素直で優しい良い子です。…その子と両思いになれたら幸せになれるだろうなって思えるくらい…」
ケン「へー!イイじゃん!!」
ユウゴ「でも、その子には別に好きな奴がいます」
ケン「え……」
ユウゴ「その子の好きな奴もめちゃくちゃ良い奴です。だから2人には上手くいってほしい」
ユウゴ「俺は最初からお呼びじゃないんですよ。だから深入りしたくなる前に身を引かないと…」
ケン「…大体…事情は掴めたけど…それはユウゴくんにとって1番良い方法なの?」
ユウゴ「俺にとって?」
ケン「…オレは正直恋愛関係は全くと言っていいほど疎いから…あんまりどうこう言えないけど…。ユウゴくんは自分の感情をそんな理論で片付けられる?」
ケン「人の気持ちはままならないものだよ。自分も含めてね
ユウゴ「…………」
ケン「あ!カツ丼どうぞー!早く食べちゃって〜〜!」
ユウゴ「あ、ありがとうございます……」
ユウゴ(ん!?何だ!?このデカ盛りカツ丼!)
…あの2人が……
うまくいけばいいと心から思う。あの子の為だけじゃない。あいつにとっても…それは必ず大きな救いになる…。
誰にとってもそれが最善の道だ…。そうに決まってる…。
アリス「ユウゴくん!ちょっといい??」
ユウゴ「え?」
アリス「これ、この前美味しいって言ってたおかず、お弁当にしてみたの✨」
ユウゴ「え!?わざわざ作ってくれたんだ!?」
ユウゴ「大変だったんじゃない?あいつにも俺が無理言って作って貰っちゃったのに…」
アリス「私が好きでやってることだもん✨ちっとも大変じゃないわ✨」
ユウゴ「でも…何だか悪いな…」
アリス「ユウゴくん、本当に美味しそうに食べてくれたでしょ?私、凄く嬉しかったの」
アリス「むしろ私がお礼を言いたいくらい✨」
…前に…こんな事をあいつに思った事を思い出した…。
変わらない彼女を嬉しく思うのか…ある意味残酷だと思うのか…。
お前は…本心ではどう思っているんだろうか…。
アリス「ユウゴくん?」
ユウゴ「すっげー嬉しいよ!ありがとう!朝食ってなかったからめちゃくちゃ腹減ってたんだよねー」
アリス「本当?よかった!!」
…彼女が好きなのはアイツだから…。
…アイツも彼女といる方が幸せになれるから…。
…俺は色々な人の感情を、確かに理論的に片付けようとしている…。
ー後日談ー
エレナ「ふふ…ふふふ…今回も化けの皮一枚繋がったって感じね…」
アリス「エレナ…それを言うなら首の皮ね?」
※この世にある怨念の煮凝りが具現化したような姿をしているけど、一応赤点は免れている
ユウゴ「…お前…この点数マジか?」
マオ「何だよ」
ユウゴ「色々1人で心配して俺アホみたいだわ!もうぜってー心配しねぇ!!」
マオ「お前は何を逆ギレしてんだよ」
お話を読む上でお役立てください✨✨