大学受験は、ほぼ終了した。

在塾していた高校生の合否のお知らせは、ほぼ届いている。まだ届いていない生徒もいるが、抑えは確保しているので、繰り上げ合格を待っている状態なのではと思っている。

 

この合格者の中には、私が合格の報に嬉しくて涙が出た生徒もいる。それは、また次の機会に書きたい。

 

今日は、去年中学2年生で入ってきた区立中学の生徒の話を書くことにする。個人情報を含むので、ぼかしているところがあるが、本当の話だ。

 

A子ちゃんは、以前私の塾にいた生徒からの紹介で入った。私の塾は中高一貫校の女子をターゲットにしているので、区立中は紹介があった時のみ受けている。

 

しかし、入塾前の説明で、学校の成績をきいて驚いてしまった。成績がほぼオール2だと言う。英検は、4級を受けて不合格だときいた。

 

私立中学の生徒は、入試を経ているので、そんな成績の生徒はいない。以前に一人引き受けた区立中学の生徒にそういう成績の生徒がいた。何度教えても綴りが一つか二つ逆になり単語が正確に書けなかった。

 

高校受験はどうしたものかと思ったけど、お母さまがしっかりしていて、いろいろ調べて、大学付属の高校を見つけてきた。単願なら手が届きそうだったが、2が多くて、英検3級に合格したら確約が出るということだった。

 

英検はマークシートなので書くことはない。英作文のパターンを10に絞り何度も何度も書かせた。そして二次試験もパターンを覚えさせて合格させた。そして、見事に単願で志望の高校に進んだ。

 

あの生徒を頑張って教えたから、無理じゃないかもしれない。

それに今更断れない・・。

 

普通は週1回指導だが、振替枠をその子に充てて、英検と学校の定期試験対策を始めた。英語は近所の塾に通っていたそうだが、文法の抜けが多く、しかも応用力が極端になかった。しかし幸いなことに暗記力はあり、覚えたらしっかり書けた。

ところが、英語が読めなかった。どう発音するのかわからないので、教科書の9割が正確に読めない状況に困惑した。

 

お母さまは、単願で私立高校へとおっしゃっていたので、なんとかまず試験の形態が変わる前に3級に合格させたい。その思いで、必死で工夫しながらとにかく英作文の必勝パターンを教え、どんな問題でも書けるよう指導した。

 

すると、3級に合格した。パーセンテージの成績を見ると、readingとlisteningが、スコアが低すぎてパーセンテージが出ていなかった。ただ、英作文が満点で100%だった。英作文のみで合格できたのだ。

 

しかし、それでも合格は、合格で、A子ちゃんの喜びは大きかった。お母様も学業において娘の初めての成功体験ですと喜んでいた。

 

A子ちゃんは嬉しくて、学校で友達にスマホで合格を見せて自慢したけど、友達は信じてくれなかった。他の人の合格画面だと言われたり、バカなお前が合格するはずがないと言われたらしい。

 

学校の先生は、驚いて口を開けて絶句したそうだ。そしてスマホの合格とA子ちゃんの名前の一致を何度も確認したそうだ。

 

それを聞いて、私は腹が立ってしかたなかった。

「いい、A子ちゃんはバカじゃないの。二次試験も合格して、皆を見返してやりなさい」と励ました。

 

なんだか、指導魂に火がついた感じだった。

5つの質問の内、2番、3番、4番は何度も類似問題をやって大丈夫になった。こういうタイプの質問にはこれさえ言えばOKのような教え方だった。実力ではないのはわかっている。でも合格を勝ち取って、後からまた勉強すればいい。

 

困ったのは、質問1番だ。あいかわらず読めない。たった4行ぐらいの文なのに、間違いが何個もある。誰でも読める単語ですら間違う。仕方ないので、間違いをすぐノートに書かせて家で何度も練習してもらった。

 

まあ1番ができてなくても3級なら2番、3番、4番ができれば合格できると思っていた。

 

そして、先日発表の日が、授業の日だった。他の生徒から続々と合格の知らせが届いていたのに、A子ちゃんは発表があったのを知らなかった。

 

パスワードを覚えていれば、今確認しなさいと言って、見てみると、

 

「合格」の文字が見えた。思わず、A子ちゃんと抱き合って喜んだ。

その合格は、知らせた教師が皆、同じ表情をしていたとA子ちゃんが言う。

なんか口を開けて「えっ」て感じだったそうだ。友達もやっと信じてくれて、

「お前が受かるなら俺も受かるから、受ける」と言われたそうだ。

 

それだけではない。定期テスト、英語は20点台しかとったことがなかったのに30点以上点数をあげて平均点に達した。

 

優秀な生徒からすると、たかが3級合格かもしれない。でもずっと「できない子」と思われて、自分も自信がなかった生徒にとっては、とても大きな合格だ。

 

英検は、英語の実力とは別の所で自信を与えてくれる切っ掛けになることもあるんだなと思った。

 

 

3月3日、お内裏様とお雛様だけ玄関に飾った。

 

玄関なので暗いなあ。

 

お雛様の日だったので、お昼はちらし寿司とはまぐりのお澄ましを作った。

後は野菜いため。