お正月早々、日本航空と海上保安庁の航空機との衝突事故があった。

5人の犠牲者を出した海上保安庁の航空機は、地震で困っている人たちのために新潟航空基地に物資を輸送する途中だと知って、余計に胸が痛む。

 

ニュースやワイドショーなどで、事故当日の機内の様子や、脱出する乗客の動画が何度も流れた。

 

私が客室乗務員の時は、スチュワーデス(略してスッチ―、内部では、デスと呼んでいた)と呼んでいたが、いつの間にかその呼び方はしなくなりCAと皆が呼ぶようになった。

 

そのCAさんたちが、職務を全うしている姿や大声での指示を聞いていると、数十年前の新人訓練や、1年に一度、実寸大の客室を模したモックアップでおこなわれるエマージェンシーの訓練が鮮やかに蘇って、緊張した。

 

1年に1度おこなわれる訓練がいつかスケジュールでわかると、その日からずっと心が重く、緊張した。教官が誰かによって、その緊張度は微妙に違った。

 

その場で、今回のCAさんのように自分が冷静に動けたかどうかわからないが、おそらく恐怖よりプロ意識が勝るのが緊急時の訓練の成果なのは間違いない。これほどのエマージェンシーではないが、現役の時にイレギュラーフライトはいくつか経験したことがある。後で怖く思ったが、意外と落ち着いて対処できた自分にびっくりした。

 

大がかりな訓練は年に一度でも、毎回のフライト前にエマージェンシー時にどう対処するか、その時の1番上のCAが、主に乗務歴の浅いCAに質問する。例えば、「トイレで火災が発生しました。どうしますか」とか「緊急時のドアの操作を言ってください」などである。そうするとモックアップの訓練が画像として浮かぶ。頭の中で何度もシュミレーションをしていると身体がかってに動くようにさえなる。

 

機種によってドア操作は微妙に違うのだが、スライドを手動でセットしたり、リセットしたりする機種があった。多くの仕事を同時にこなしながら、その簡単だが重要な仕事は絶対に忘れてはいけないことだった。しかし、ふと「あれっ、私スライドセットしたかな」とヒヤッとすることは何度かあったが、きちんとやっていた。どうも身体が覚えていて自然に動くようになっていたのだと思う。

 

CAをやっていたのは何十年も前だが、動画を見ると緊張するし、頭の中で自分が動いているような錯覚に陥った。訓練ってすごいと思う。実際に自分の判断で後方のドアを開けたCAさんの冷静な判断と勇気を思うと涙がでそうになった。どんなに重圧だったのかと思う。恐怖はおそらく後を引く。切ないような、祈るような気持ちだ。「大丈夫、あなたはよく頑張ったよ」

 

今も、日常生活に訓練の名残がある。家を出るとき、全部の部屋のエアコンや冬は暖房器具、台所のコンロなどを確認する時、必ず指差し確認して、声を出して「OK]と言っている。

 

 

 

 

最近、ヒヨドリがリビング前のベランダにやってくるようになった。最初は可愛いと思っていたが、必ずフンをするようになり、困っていた。

 

原因がわかった。

 

お正月に買った、紅白の万両だ。赤い実が食べられているのがわかる。

 

猫の転落防止用のネットにもたくさんフンがついている。早速、万両の置き場所を変えたら、ヒヨドリは来なくなった。