第一四半期 忍耐。 きっと春は笑う。

2月15日は大きな節目だった。

3月9(師との永訣) 10(兄イ月命日) 11(東日本大震災・多くの友も逝く)

 

幾春別必ず咲く花の春は笑う

 

真白き富士の根 美空に輝く 丹沢の散歩道 櫻花も美し。 

    

 

東名高速上り7キロ渋滞、一般道を走り 兄イの墓所へ、15時を過ぎた。

 

    

 

「オゥ 苅、どうだ体調は?」

「もう大丈夫です 兄イ。いやぁ鬼の霍乱です」

「バカ野郎!俺の目はごまかせんぞ!!」

 

まじな目で 瞬きもせず 真直ぐ俺を見詰めていた。何十年ぶりだろう真剣な眼差しは。

 

「…兄イ、済みませんでした。元気な姿を見せるのが辛くて… 謝ります」

「ウン…心配した。苅 お前、今の目の輝きに嘘はない 安心した」

「はい。夜 来ようかと思ったんですが 実はその元気もなくて…」

「なぁ 苅、もう若くない いつもの気持ち これが一番だ。俺はそれが嬉しいんだ」

「はい。淡墨桜です」

 

そっと火をつけて 香りを楽しんでもらった。

兄いは何処か遠くを見ていた。そして何か決意めいたものを感じた 何故か泣ける。

 

「娘、来てるのか

「はぁ…

「なんか喰わせてくれ、たまにはな 苅 ハハハ」

「えっ?、分かりました早速何か作らせます

 

兄イにしては極めて珍しい。そうだ サラダごぼうがある、娘に頼むか。

 

「苅 茶漬けでもいい、昔のように喰おうや」

「よーし、やりますか兄イ」

 

自分にはそれでも嬉しかった。あの時のまゝだ。

 

   

 

 

《年の経ば 着つつ偲へと 妹が言ひし 衣の縫い目 見れば哀しも》