雲一つ無い晴天だが蒸し暑い。

先ずシュロ帚を手にして墓所に向かった。

墓前に上がる石段の前で一礼。

「来たか、苅」

「はい。ひと月振りですね、彼岸・盆・誕生日を入れてこの月命日で14回目です」

「お前も律儀だなあ」

「何言ってるんですか、兄イを見習ってるだけですよ」

「バカ、お前・・・」

「いつも奇麗ですねえ墓所。花もあるし墓道の草取りだけします」

「すまんなア」

墓前に向かい改めて合掌。家内にも兄イにも会いたい。

 

「覚えてますか、このストライプのスーツ?」

「ボストンか? ライトグレイでウエスタン風。色違いで夏用に仕立てた」

「そうです、兄イの考案ですよ。もう50年です。太って着られなかった時期もありましたが、今はピッタリ」

「かっこい~!苅谷さ~ん」

「怒りますよ兄イ!」

「怒んなよ苅、撮った写真くれると言ってそのままだぞ、お前」

「すみません。50年前のあの時分、現像代が無くて・・・」

「バカッ! 真っ正直に受け止めるな、ハッハッハッ」

「そうですね。いい歳してハハハ」

「なあ苅よ、俺はあの日以来もう歳はとらないんだ」

「彼岸って此岸と違っていいところですね。近いうちに行きますよ」

「お前はまだだ! やることは一杯ある」

 

20分位話をした。何度拭っても汗が噴き出す。

「兄イ、前回云ったように今日はステーキですよ」

「おおッ、覚えてるぞ。俺はミディアムレヤーで頼む」

「エ~ッ、失敗してもちゃんと食べるんですよ」

「分った。楽しみにしてるぞ」

歩きながら振り返った。背中が、また来いよと言っていた。

 

何時もの肉屋さんが臨時休業!?

参った。しょうがないスーパーで最上級の和牛を買った。

ミディアムレヤーと家内のミディアム。レタスの炒め物。みんな塩コショウだけ。パンが置けないので別場所に供えた。

「兄イ、旨い筈ですよ」 

「英子、お前も久しぶりのステーキだなあ。でもお前は2切位しか食べないから少なくしたよ」

朝昼食は、最近オープンしたパン屋さんのクロワッサン。食後の果物はメロン。ほんのちょっと若かった、残念・・・。

        

 

読経しているところに、プロデューサーであり僕のマネージャーの吉岡君が来た。読経が終わるとお焼香をしてくれた。

彼は、どんな時でも焼香を欠かしたことがない。気の優しい奴だ。

 

打ち合わせを始めると、何故か笑いが止まらなくなる。真面目なのだが、この男の持ち味がそうさせるのだ。実に楽しい。

 

そんな時、宅急便が届いた。

種子島の西之表市日典寺の住職から、初もののトウモロコシが大量に送られてきた!

重いからいらないと屁理屈を言う吉岡君に

「お前じゃない! 大切な奥方にだ!

と一喝して少し分けた。後は笑いの渦。

 

彼が帰った後、早速蒸し器で茹でた。

下の写真は茹でる前のトウモロコシの一部

出来上がったシャキシャキ感があり、とても甘くて美味い

有り難う御座いました。早速祭壇に供えます。

コロナが収束したら、心にいる妻と一緒に、又遊びに行きますよ。

 

嬉しいパン屋さんが出来た。『てっパンはだの桜みち店』だ。

8時半過ぎに行くと、出来立てのパンが次々に並べられていく。

こんな近くに、こんな美味しいパン屋さんが出来て幸せだ。

家内は、バタートーストとクロワッサンが好きだったが、トーストのミミは必ず残した。

しかし、ここの食パンは絶妙の味で、トーストにしてもミミが柔らかいので残すことはなかろう。

このお店のパンなら他のパンも食べる筈だ。

買ってきたパンの撮り方は下手だが、美味しさは格別だ。

昨日は膳が小さく、ピザを供えても皿一枚で一杯だったが、

大きめに作り替えたので、これからは配膳に余裕ができる。

朝昼食。このトーストが実に美味しい。

しかし空間が有り過ぎるなあ。朝昼食は今までの膳にするか。

夕食は極めて簡単に、ナメコ・豆腐・玉ねぎの味噌汁に漬物とサラダ。やはり膳が広いなあ。

『北海道・北東北縄文遺跡群』が世界文化遺産に登録されるか?不確実な歳月が流れ過ぎた。

でもよく頑張ってくださった。

今度の世界文化遺産認定会議で決定するのは間違いない。

 

北海道の考古学の友人から連絡があった。僕は即座に答えた。

『おめでとう! 』

 

そう断言出来た僕の小さな経験を少しだけ記そう。

『百舌鳥・古市古墳群』が、2019年7月に世界文化遺産に登録されるまで10年以上の長い歳月が費やされた。

僕は、その最後の方にちょっとだけ支援しただけだが、登録された時は本当に嬉しかった。

 

2018年に政府は『百舌鳥・古市古墳群』を世界文化遺産に推薦することを決定し(ここまでが長かった)、

同年2月1日までにユネスコ世界遺産センターへ推薦書を提出。

87基が現存するが、そのうち墳形がよく残っている49基の古墳

が対象となった。

同年9月11日から7日間、イコモス(国際記念物遺跡会議)の調査員が現地を詳細に視察し、一定の理解が得られた。

「これでいける!…?」

と思いながらも、初めて関わった僕は安堵8分・不安2分だった。

 

2019年5月、イコモスによる評価結果の勧告があり、同年7月、アゼルバイジャンで開かれた『第43回世界遺産委員会』にて審議され、『百舌鳥・古市古墳群』は世界文化遺産登録となった。

古墳群の『世界文化遺産』は初めての快挙だ

 

 

 

今年、『北海道・北東北 縄文遺跡群』が世界文化遺産となる。

これこそが日本人の大きな誇りだ

1万年以上の長きに渡り、同じ文化が継続したのは、世界広しといえども、日本の「縄文時代」しかないからだ

 

『縄文文化』は日本独自の誇り高き文化で、現代日本の土台に息づいている。

この崇高な文化1万年失くして日本の歴史・文化は語れない

 

戦争も無く、1万年以上続いた縄文時代

自然との共存を確立して、定住生活を送っていた社会

約5000年前『四大文明』発祥の頃、既に日本列島では、縄文

  文化という『高次の精神文化』が栄えていた。

 

そんな事例は世界で唯1つ、日本にしかない。

この文化が、日本人の基層にあることを決して忘れてはらない。

 

縄文時代の自然環境は、緑豊かな野山・水清き川・澄みきった 

  空気・満天の夜空に煌めく星・そして天の川等々

   どれをとっても私たちが未来に臨む自然環境と同じだ。それが

   縄文時代という遥かなる過去にあった

 だからこそ日本人の誰もが、置き忘れてきた縄文1万年を理解

   し、明るい未来への道に繋げることが責務なのだ。

 人為的に朽ちようとしている地球環境を救うには、縄文時代が 

 大きなヒントとなる。

 縄文人の血が流れる日本人だからこそ、率先して縄文の精神 

 性を世界に発信することが、切に望まれる。

 

      函館市南茅部町『大船遺跡』の信じ難い深さの竪穴住居跡

 

コロナワクチンの予約に、午前2時半から並んだ人がいたと聴いた。

7時半にクリニックに着く僕など、いつも募集人数締め切り後だった。

個人は、行きつけのクリニックでしか予約はできない。しかも電話予約もできない。

それがこの市の決まりだ。

寝ぼけ眼で家内に朝昼食を供え、読経して眠ってしまう毎日だった。

友人が焼香に来た日も、ひと眠りした後だった。

27日の朝昼食は、何とかいつものように供えたが、28日は山菜の天ぷらだけ。

28日朝昼食

この28日に予約出来たので、夕食は石井さんが持って来てくれた自信作の大根で、ブリ大根を作った。山菜のウドと行者ニンニクの天婦羅も一緒だ。

山菜はこれで終わり。キッチンは油だらけ!

今日29日の朝昼食は、パンがないので焼きおにぎりにした。なかなか美味しい。

こういうのもいいもんだ。

『仙人部落満月会』の皆がそれぞれ家内の遺影を手に取る。全員に囲まれ嬉しそうな家内。それだけで充分。

 

満月も月食もこんなものだった。

 

せめて秋山さんに戴いたお土産、文明堂のどら焼き「三笠山」で・・・

〝三笠の山に出でし月かも〟

満月!

満月に戻る月食の月!


仲間と一緒に大笑いするお前。さあみんなで山菜の天ぷらだ!。

指示する僕、揚げる博物館長の大倉君、山菜を分け皿に盛る過去官僚の石井さん。

テーブルで待ち、ああだ、こうだと言う秋山・安藤の両氏。さながら「天婦羅戦場」だ。

旨い、旨い。『これは絶品!』 まだまだあるぞ!。

安藤さんに云われ、オッと家内に供えなきゃ。

なんと幸せな一日だろう、なあ、お前。

朝昼食は、いつものようにパンとサラダにチーズを添えた。そして焼きタケノコ。

まだ沢山ある、皮のままもっと焼けばよかった。

3時のおやつはサクランボ。

夕食は、「ウド」と「もみじ笠」がメインだ。

ウドは酢味噌をつけると美味しいと教えてくれたのでやってみた。

皮の取り方が面倒だが、美味しく食べたいので丁寧にやった。厚めに取り除いた皮と先端部分は、塩胡椒してオリーブ油で炒め、ジャコとトマトを添えた。

もみじ笠は、「しどき」とも云うらしい。これはお浸しにしてかつお節を振りかけた。

買ってきたレンコンと人参の煮物も加えた。

 

「さあ、秋山郷のきよ子さんからだよ。調理は俺、初めてだけど食べてごらん。」

家内に供えて読経。

ウドに酢味噌をチョイと付けて・・・、ウド独特の軽い苦みが酢味噌似合って旨い!

イケる、イケる。

もみじ笠のお浸しも良く出来た。これも美味しい。

旬の山菜は、下手な調理でも彼らが持っている力の方が勝るんだなあ。有り難う。

 

7時半、月は出てるかな?

あっ! 満月に見える。明日は満月で皆既月食。「仙人部落満月会」の4人が、お焼香にやって来る。よし、山菜の天婦羅でシャレ込もう。

お前も嬉しそうだなあ、みんなに会えるぞ。

明日は場所を変えて、山の端から昇る満月と皆既月食を撮ってみよう。

秋山郷の『ひだまり』のきよ子さんに電話したら、

タラノ芽に似た「こし油」という山菜は、ザク切りして塩コショウでサッと炒め、

そこに御飯を入れて混ぜ合わせると、調理も簡単で美味しいらしい。

挑戦!

ザクッと包丁を入れた。芹を想わせる香りが広がった。香菜の一種だ。

オリーブ油でサッと炒め塩コショウ。炒飯の要領だ。ならば醤油も少々。

これがいけなかった! 色が悪くなった。黄色のトマトを添えたが意味なし。

味は?・・・実に実に実に旨い!!

 

タラの芽の天婦羅。これが厄介だが何とかパリッと揚がった。良しとしよう。ところが、天汁が無い!

新鮮な山菜は、塩が一番うまい筈。僕は、美味い蕎麦は先ず塩で食べる。

言い訳に聞こえるなあ。

膳は、かなり淋しいが旬の味はこれでいいのだ!

お前も納得? よっしゃよっしゃ。

秋山郷という地域がある。

新潟県と長野県にまたがる山深い里で、苗場山・とりかぶと岳の麓だ。だから春も新緑も遅い。

僕は長野県側の秋山郷(栄村和山)に撮影で初めて行った。それから家内や友人達としょっちゅう出かけるようになった。温泉もなかなか風情がある。

ここにある『ひだまり』という民宿が定宿で、好き勝手なことをやったもんだ。

 

御主人は村長まで勤めようとした方で、奥方のきよ子さんは家内と凄く仲が良かった。

きよ子さんの作る「イワナ雑炊」は天下一品で極尽の旨味だ。

他に山菜の天ぷらに始まり、キノコ料理等々絶品の味だ。

あの小食の家内が、時間をかけて全て平らげたのには驚いたものだった。

 

今日、そこから山菜が贈られてきた。

朝昼食を早く供えておいてよかった、と内心思う。

早速段ボールを開けると、新聞紙に包まれた採れたての山菜がギッシリ!

タラの芽の写真を撮るのを忘れた。

天ぷら・お浸し・焼いて食す、それから、それから・・・、どうすればいいんだ。

電話して訊くしかあるまい。云われたように出来るだろうか?

夕食に供えてあげたいが不安だ。牛肉のおかずはひとまず後にしようか・・・