いやぁ 墓所まで行く坂道が こんなにきついとは思わなんだ。

筋力というのは 歩かないとゲッソリと落ちるものだ。

線香に火を点け乍ら 水屋のおばさんが随分と心配して下さった ありがとおばさん。

チョッと長いですよ。

 

えっ?そりゃ自分だって調子の悪い時はありますよ社長。

 

「その分4束の線香をあげました」

「オイッコラッお前煙いぞ まッいいか ひと月ぶりだもんな」

 

 

「ホイ 苅谷君、話が一杯ありそうだな」

「えッ まあ、何度も手を合わせましたよ」

「お前が10分も無言で立ってると 目のやり場がねえよ」

「ですか ハッハッ。まッお察しの通りです」

「なあ 苅谷君、ホントに苦労かけたな」

「社長、またつまらん事を みんな愉しい思い出じゃないスか。ここで手を合わせたら   全て忘れて全力投球ですよ」

「お前を 理解する奴 いねえよな、哲と俺だけだ」

「社長、ほら 青空が出ましたよ。3人の気持ちです」

 

 

「社長、珈琲のみたいですね」

「オッ 久し振りだなぁ お前、顔の割りにゃぁ気が利くぜ」 

「一言余分です社長(笑) 三松閣に車を回しますから 二人で行きましょう」

 

今日は土曜日という事もあって 法事の方々が多かった。

一面のガラス越しの向こうに 白い桜が目立って咲いている。

もう雨水か。この境内の7種類の桜が咲くと 桜若葉の時期がやって来る。
 
 〝行き暮れて 木の下影を 宿とせば 花や今宵の 主ならまし  旅宿の花 平忠度
  ❛前途程遠し 思ひを雁山の夕べの雲に馳す 後会期遥かなり 纓を鴻臚の暁の涙に潤す❜
 
「夜桜もいいですね社長、兄いと3人 チョッと洒落込みますか」
「オイ苅谷君 お前まだ本物じゃねぇな」
「社長、今宵は赤から軽くポンと始めましょうや」
「バカ‥お前は」
 
【スナップエンドウ・にんにくの芽・牛バラ・トマト・バターロール・クロワッサン・赤ワイン】
     
 
音楽を聴きながら、
実に下らんエゴイスト指導者どもが 自由と放任を履き違えて 人類を滅ぼしそうだ。
終わりですねこの大国は、お笑いですよ社長。そろそろヘネシーやりますか。