薄雲が緩やに浮かぶ青空 コートもいらない陽気だ。

12月28日、社長89歳 兄イ82歳。誕生日おめでとうございます。

 

大駐車場は 年始準備のため閉鎖、境内の「三松閣」に停めさせて戴き、

いつものようにカレンダーを「みずや」に渡し、線香に火を点けてもらった。社長は

この線香を喜んでくれる。

   

 

「おめでとう と云うなよ苅谷君」

「判ってます。苅谷君と言わないでください」

「お前、俺 云っただろ、あん時からそう呼ぶってな」

「まぁ、晴れ男になってくれたんで仕方ないです」

「へッへッ、晩飯はいらねぇよ。けど酒はな」

「はい はい」

 

こんな会話から始まり長っ話になった。

 

 

 

   

 

「兄イ」

「オゥ 苅、靴音で解ってたよ 左が強い」

「握力84、黄金の左ですよ」

「ハッハッハッ、そりゃ手だ。もう無理だぞ」

「バレますネ」

「お前 俺たちのとこに来るなんて言うなよ絶対、苅」

「晩飯 決めました」

「オット かわしたな」

「空手かわすのは兄イには負けますがね」

「解った 解った」

「今年〆の淡墨の桜です」

 

あのお二人が墓所の掃除に来てらした。僕の話が終わるのを待っていらっしゃる。

長話は切り上げた。

 

「兄イ、年明け 鏡開きに来ます」

オゥ 必ずな、待ってるぞ苅

 

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今日の月は黄金の様な黄色い月だ。大きい。

 

【28日18時15分 月の出】

 

さて 晩飯 と云うより酒宴だ。シャンパンで今年を締めくくり、後はヘネシー。

 

   

         【牛タンの塩焼き】                       【切れ目を入れたステーキ&セロリ】

 

【リンゴ マカロニサラダ】

 

 

 

 ……旧友は忘れ去り もう回想しなくていいのか?

          優しさを一杯 今 飲み交そう 懐かしい あの頃のために……

 

  〝~なぜか涙が滲んでくる~〟仲のいいブロ友 Harryさんがそう言ってた。

 

「オールド・ロング・ザイン」。

日本では「蛍の光」の歌詞がつけられているスコットランド民謡だ。シャンペンで乾杯

したはいいが、この曲に耳を傾け 無言の時が流れた。静かな酒宴の始まりだった。

 

やはり 泣ける。

あの頃が あの笑顔が あの時が、走馬灯のように頭の中に蘇り 過ぎっていく。

社長・兄イ、そして…。こんな静かな宵の酒宴は、かつて経験したことは無かった。