何処となく肌寒く 心すぐれぬ一日だった。

精々 庭で枯草を燃し 立ち昇る煙をボーっと いぶかし気に見るだけ。普通なら何らかの事を思惟するのが常なのだが、それもなく 美味いとも思えぬ煙草を吹かすだけ。

こんな日が かつてあっただろうか。

寒さというのは 己を活気付ける時と 肩をすくめさせる時を創り出すものだ。

 

と想い乍ら2時間ほどの時を過ごした。冬雲が形を変えながら東に流れる。

 もう4時か、さ~て 家に入って温まろう。

 

晩飯は天ぷらを揚げよう と想ったが、天ぷら用の菜種油が足りない。

オリーブオイル・ごま油・えごま油しかなかった。買いに行くのも面倒なので 飯だけ炊いて何とかすることにした。

 

  

        【牛肉・生どんこ・かぼちゃ・白菜・ネギ・荏胡麻の煮付けと梅干】

 

   

【大雪山トマトジュースと珈琲マンデリントバゴ

 

カボチャを天ぷら用に薄切りにしてたのは失敗だが 味?当然 自画自賛 (笑)

 

さて、今日の月は… おゝ 昨日より弦が張った。満月は27日らしい。

ぬばたまの弓張り月、これもいいものだ。

日本人に限らず 黄色人種は月を愛でる。これはコーカソイド(白人系)を大きく凌ぐ。

心模様が細やかな人種なのだ。

 

【21日20時19分】

 

万葉の歌をあげてみようか。

第3期の歌人に[笠朝臣麻呂]=(かさのあそみ まろ)という人がいる。

  大伴旅人・山上憶良・山部赤人らと同じ 平城京時代初期の歌人だ。  

 

ちなみに、  

  第1期の歌人には伝承を含めて 雄略大王・舒明・天智・天武の各天皇・ 

     藤原鎌足・額田王・笠金村ら(古墳時代~飛鳥 藤原京時代前後)。

  第2期は 持統天皇・柿本人麻呂・高市黒人・大伯皇女・大津皇子ら(大化改新・

      藤原京初期~平城京遷都までの白鳳時代)。

  第4期は 大伴家持・田辺福麻呂・笠郎女・紀郎女ら(平城京時代中期)
ということ。

 

さてさて、ややこしい分類をしてしまったが、[笠朝臣麻呂]=(かさのあそみ まろ)

歌に戻ろう。 
 

【ぬばたまの 黒髪変り 白けても 痛き恋には 逢ふ時ありけり】   笠朝臣麻呂

 

歌意 苅谷: ぬばたまの黒髪が白く変わっても、こんなに辛く苦しい恋に逢う時があるのものだなぁ。

   ※ぬばたまの➡枕詞で 黒・夕・宵・髪 などにかかる。 

   ※痛き恋➡辛く苦しいほどの恋。

 

恋をすることに 年齢はないものだ と云う事でしょう。この万葉歌の白髪をヒントに、

台本に もじった脚本家もいましたね。

 

「ぬばたまの黒髪」と同様の言葉に〝君が緑の黒髪〟という言葉がある。

[夜明け前][破壊]の小説や[千曲川旅情]の歌を作った 島崎藤村の作詞、[惜別の歌]

という有名な歌の3番に使われている。

女性の 黒く つやゝかな美しい髪(=ぬばたまの黒髪)を表現した言葉だ。

流石に藤村ではないか。
 

万葉集にはこんな歌もある。

【ぬばたまの 夜渡る月を 留めむに 西の山辺に 関もあらぬかも】
歌意 苅谷: 漆黒の夜空を渡りゆく月を 留めておきたいが 西の山の縁(へり)に関所があればいいのだが

 

わッ、日付が変わりそうだ。いやいや いささか長すぎた。茶漬けを少し。