濁り無き晴天、暖、弱風、東名高速上りはガラ空き、1時間10分はかかるのに
50分でお寺に到着。「早く来い苅」 「兄イ、自分も話したいことがあります」
この気持ちが天に通じたのか、と思う程だった。
出発前の午前中に撮った我が豪邸(誰が見ても冗談)の往く春を載せておこう。
雉の鳴き声が近すぎる。ガラス越しにそっと見ると、3mほど前の築山にいた。
カメラを取って縁側のガラス戸を少し開け、邪魔な網戸に手をかけた瞬間、トトトと
逃げられた。道路を挟んで前の畑でまた鳴き声を上げる。「ケーン」
仕方ない、草履をつっかけて庭から撮った。
【これが俺のソーシャルディスタンスじゃ。と云わんばかりに振り返る雉殿】
我が家の花々たち
【石楠花の赤は蕾】 【教えてもらった花ズオウ】 【百合が伸びた】
【咲き誇る石楠花の白】 【八重山吹】
【ツツジ】
【垣根のツツジたち】
【ブルーベリーのの白い花袋】 【かなり伐採したが今年も咲いてくれた八重桜】
今迄お詣りしてこんなに最速で着いたことはなかった。それにしても今日は初夏だ。
〝夏男 眼と眼で交す 人の道〟
【スマフォで撮ったら手振れ】
「オウ、苅、元気だなぁお前、その割にはシワが増えたぞ」
「え~ッ男のシワは年輪、社長と兄イに泣かされましたからね」
「バカ、泣かされたのは俺たちだ。ようやってくれた苅、お前」
「はて?忘れました。これ、ここに置きます。手ぐらい合わさせてください」
……黙ってしまった兄イ、唯じっと見詰めている。自分には判る。
「兄イ、話があります」
「言うな苅」
「いや、言い」
「言うな!…、お前は筋の通った正道しか歩かなかった」
「でも兄イ、」
「言うな!!愚痴だ苅、俺は今まで以上お前の背中を力一杯押す」
「…はい」
「お前のシワは年輪だろ苅、正道の。違うか?」
いつもと違って今日の兄イは強かった。そして自分は嬉しかった。
「兄イ、雲一つない青空ですね」
「フフッ、ホントだよなぁ苅」
「兄イ、晩飯は」
「オウッ、刺身だ苅」
二人で笑った、いや三人だ。
ワインはシャトーラグランジュ2017赤。一口目にチョッとホロ苦みはあるが美味い。