次の回で、とした大湯環状列石の「人体線刻文土器」については、まだ写真の整理が
ついていない。で、息抜きの意味でケニアに住んでいる「マサイ族」の話を。
33年前、ある番組でケニアの首都ナイロビから車で約6時間、
「マサイマラ国立自然保護区(大阪府と同じ位の広さ)」を突っ走り、広大なサバンナに
生きる動物を近くに臨みながらマサイ族の居住地に辿り着いた。ナイロビ朝7時出発、
マサイ族集落に約14時着。(道中を描写するとこのブログだけでは済まないので省略)
僕はこの番組を受けるにあたり、電気・ガス・水道等のインフラ整備されていない
地を訪ねることを条件にした。それは民族・民俗を実見し、日本の縄文・弥生研究の
ヒントを得たいという想いからだった。番組は約1年強ほど続いた。
マサイ族の「栓状耳飾り」とその穴の開け方は、縄文中期に隆盛する耳栓(じせん)
の解釈に大いに参考となった。
下の写真の子供に「ハエ小僧」とあだ名をつけた。目の周りに集るハエ等気にしない。
「おいハエ小僧、来い」と呼ぶと「おいカリヤ、来い」と言う。可愛い奴だった。
家の中は真っ暗、十円玉位の小さな穴が炉の上に空けられており、光はそこからしか
射さない。スコールの時は牛の糞の屋根から黄色い雫が垂れて来る。
家の中を野帳に記録したいのでコンベックスと懐中電灯を使った。家の中で大歓声。
外からもドッと人が入って来て大騒ぎ。いやいや驚くやら愉しいやら。
彼らには特殊な能力がある。100頭程の牛の身体模様で、全てに名前を付けている。
薄暮の頃、小一年ぐらいの子供二人が放牧した牛を連れて集落に帰って来ると、
出入り口のところで全頭いるかどうかを大人が確認する。数を数えるのではなく、
1頭1頭を見るだけ。そしてOKの意味の手を上げ、広場に牛が集まったら出入り口を
閉ざす。
僕は1頭の牛Aの模様を覚え、動きまわるその牛の位置を常に確認しながら、
パルモアットに遠くにいる牛を指差し名前を訊いた。Bと答える。
僕が覚えている模様の牛Aを指し、「あれは?」と訊くとAと答える。
牛はじっとしていない。また離れたところの牛の名を訊くとCと答える。
もう一度違う場所に移動している牛Aの名を訊くと、Aと答える。
3~4回繰り返しても必ず正解が返って来る。
この能力はどのようにして育ったのだろう…。もっと滞在したかった。
野帳から起した家の内部構造を下に示した。正式な図面ではないが参考までに。
息抜きでブログアップしてみた。18日に行った講座の拙い話の一部を記した。
では、またの機会に。
【講座終了後の質問に答えて】