18日は八ヶ岳を望む友の家で、妻と4人で宵の満月を仰ぎ見た。
心に焼き付いて消えない永遠の月だった。
19日、我が家の傍の山が紅葉に燃え始めた。
『仙人部落満月会』の面々が焼香にやって来る。
月蝕と満月、そして家内を囲んで宴を楽しもう。
友が作った月食・満月料理が並ぶ。
里芋の月食・満月に、思わず笑いがこぼれるが、
彼らの気持ちが、心に味に沁み渡る。僕は大隅ごぼうサラダだけ。
霊前に供えて焼香。〝さあ、いつものようにやろうぜ〟
支え支えられ、もつべきものは友。
歳はとっても、心は出会ったあの日のまま変わらない。
森に遮られ、山の稜線から昇る月は我家からは見えない。
日中は晴れていたが、雲が夜空を蔽っている。だが僕は晴れ男。
17時39分、薄雲を貫いて顔を出した。偽りなき月蝕。
17時43分、大倉君が持参の一眼レフで捉えた。
薄雲を透して、さすがお見事。
腕よりカメラと、傍にいる考古学者は言ってる筈だが…。
18時54分、しばらくお隠れだったが、違った顔で現れた。
19時33分、満月に近づいてきた。ちょっと薄雲が濃い。
雲が消えていく、星も顔を出してきた。もう満月はいつでも撮れる。
笑いは絶えず話は弾む。酒瓶3本が空だが〝まだまだこれから〟
と言いながらも、時の経つのは早いものだ。
「さあ、御挨拶だ」
皆、庭に出た。
化粧の嫌いな家内と同じ、素顔の満月が美しく輝いてくれた。
友の帰った後、いつものように家内と一緒に拍手を打って、
全ての友がいつまでも元気であることを、満月に祈り捧げた。