10人程が集まったあの一周忌から、ひと月。
境内墓地は音もなく静寂。誰もいない。
少々暑いが空は秋だ。
「来たか、今日は早いな」
「はい、おはようございます。」
「いい天気になったなあ」
「〝あたり前だのクラッカー〟晴れ男+ONEですよ」
「ハハハハ古いなあ、そのフレーズ。お前も時代遅れだ」
「へへッ、若い人には新しいですよ」
「なるほど、そうかも」
「そういえば兄イ、プレスリーが好きでしたね。」
「ああ、お前最初、似合わない!と言ったな、覚えてるか?」
「覚えてます。急にボリューム上げたのも」
「人は見かけによらぬもの。お前と同じだ」
「帰ります!」
「怒んなよ、苅」
「冗談です。ハハハ」
「今度は彼岸に来ますから、今日の晩飯は奥さんのものだけ。
彼岸は裕次郎さんのお参りを済ませてから来ますので、午後
になるかもしれません。その日の晩飯、考えていてください」
「よし、甘えるぞ」
他愛もない話だが、俺にだけ見せる兄イの安らぎだ。
境内のイチョウに銀杏が生っていた。秋だなあ。
帰宅してシャワーを浴び、昼寝。
4時間も眠ってしまった!夕食の支度だ。鮭のハラミがあるから先ずそれを焼いて、後はサラダとゆで卵、諸々だ。
温室ものだが、初物の柿を食後に。