朝食を供えて、いつものように読経。

ゆで卵にお決まりのサラダ。久しぶりの梅ジャムバタートースト。

一服したところで例の吉岡が来訪。

コイツは焼香を欠かさない。厳つい大男だが妙に愛嬌がある。

 

「珈琲できてる?」

「馬鹿野郎!沸したてが美味いんだ」

「言ってみただけ、そんなの解ってます」

先ずは、この言葉の投げ合いから始まった。困ったもんだ。

今度のYouTubeの打ち合わせだ。

 

しばらくして、いつもの宅急便の兄さんが来た。

何だろう?、1m 強の細長いダンボール箱、重い。

開く前から漂う香り。ウン?何と何と長大なユリの花

打ち合わせ、しばし中断。ひとまず庭の洗い場のバケツに挿す。

 

𠮷岡を送り、長さを半分に切り、花瓶に挿して霊前に供えた。

部屋にユリの香が立ち込め、家内が微笑む。

ユリの送り主は、『ひだまり』という民宿の奥さん。

ここが僕と家内の定宿だった。

新潟県と長野県にまたがる山深い里で、

苗場山・とりかぶと岳の麓にある秋山郷という地域だ。

いつも僕と家内は、長野県側の秋山郷(栄村和山)に出かけた。

温泉もなかなか風情があり、自由気ままに過ごしたもんだ。

「有難う、K子さん。家内、大喜びだよ、今度連れて行くな。

 旦那に岩魚を沢山釣っておくように伝えといて

 

さあ、晩飯の支度だ。