原題:Crazy Heart
2009年 アメリカ
スコット・クーパー監督、脚本
ジェフ・ブリッジス、マギー・ギレンホールなど
見た日:2012年4月1日
**********
昔は大人気だったが、
落ちぶれて地方巡業中の老ミュージシャン。
自堕落な生活の中、
弟子との邂逅や色恋などもあって復活して行く!
宇多丸先生言う所の、
「負け犬たちのワンサゲン(once again)ムービー」!
だと思って見たんだよ。チクショー!
ジェフ・ブリッジス演じる、この老ミュージシャン。
ほんとにもう、とにかく酒、みたいな感じで、
リハすっぽかすどころか、
飲み過ぎて、ステージ中に退場してゲロ吐きに行くくらい。
落ちぶれたとは言っても、昔は大人気だったから、
地方とか行くと根強いファンとかもいて、
ステージにまいっちゃった女の人(女の子って歳でもない)を
お持ち帰りしてはホテルで…
朝が来ればそっとベッドを抜け出して次の街へ…
みたいな、それはいいと思うよ。
役として単純に似合ってると思うし、
ギターをこう、ダラーンと、弾くでもなく弾く、
みたいなシーンでにじみ出る「ダメなおじさん像」、
そしてそのダメなおじさんの復活劇、っていうのは、
例えば「グラン・トリノ」でイーストウッドがやった役みたいに、
それまでのキャリアとか、
それに基づく、その俳優に定着したキャラ
っていうのがあって、なお生きて来るみたいな部分もあるから、
ナイスキャスティング賞っていうか、
その、俳優が元来持ってる説得力って意味では
すごいいいと思うんだよ。
言い方を変えれば、そこだけは良かった。
その他はもう、ね。
例えば、この人の弟子っていうのが出て来て、
これは今すごい売れっ子って設定なんだ。
で、過去にはこの二人でアルバムを出してヒットしてたりもするから、
事務所からは、新曲つくってまた二人でやれば復活できんじゃん?
みたいな提案もあるんだけど、それを頑に拒む老人。
このシチュエーションはいいよ。
ぼくは正直、ここに「ハスラー2」みたいな展開を期待しましたよ。
でもねぇ、
共演を拒んでた理由の説明も無く、
で実際に共演もするんだけど、
そこに至るまでの心境の変化とかも無く、
ただ事務所が決めたからやるっていう。
いや、そこは何かさぁ、
過去に確執があった、とか、
師匠を放ったらかしで自分だけ売れてる弟子への嫉妬、みたいなんとか、
そういうのを乗り越えての共演!ってなるからドラマが生まれるんじゃん?
もしくは何か理由があって、
「今の、こんな俺とやったんじゃ、あいつがダメになる」とかさ。
また弟子がいいヤツで、
「師匠、いっしょにやりましょうよ」って言ってくれてるんだよ。
ここも、落ちぶれた師匠への憐れみ、
みたいなものが含まれてたらよかったんだけど、
単に、今でも尊敬してるから、復活してほしいっていう。
弟子、いいヤツ。断る理由がない。
「あいつとだけは絶対イヤ!」っていう前フリは何だったの!?
意固地になってただけ?
とか、
巡業中に出会った女性にシビれちゃって、何だかんだあり、
この女性とその連れ子を絡めたトラブルがあって
アル中からの脱却を決意するんだけど、
この色恋の話がもうひとつ、
ミュージシャンとしての話に噛んできてないから、
そこもまた、ミュージシャンとしての復活劇として
説得力に欠けるっちゅうか。
「この女とイイ感じになりたいから音楽も頑張る」
みたいに見えちゃうんだよね。
57歳の枯れミュージシャンの復活劇ではなく、
10代20代の駆け出しが成り上がってく話だったら、
それでも面白く見えるかも知れないけどさ。
また、アル中からの脱却の過程も、
「ガーン!酒やめたい!」→医者にかかって脱却!
って、クライマックス直前のエピソードなのに、
すごい説明的に、はいはい、こうやって治りましたよ
って、簡単すぎない、それ?
あとね、
この人、離婚歴が4回あるって設定で、
その過去4回の結婚のどれかで生まれた息子がいるっていうんだ。
で、その息子が4歳のときに離婚して、それ以来会ってないっつってさ。
中盤くらいでその息子にはじめて連絡して、
「会いたい」「必要ないね」みたいなやりとりがあって、
友達からも、「根気よく続ければいつか氷も溶けるさ」みたいな励ましもあって、
で、それだけ。
その後いっさい息子関連のエピソード無し。
え?この話要りました?
他にも、ちょっとした伏線とかもあって、
いくつかはちゃんと回収してるんだけど、
間の話が弱いから、回収したところで、何だかなあ、っちゅうか、
あ、それも伏線だったんだ!別に要らなくね?
くらいの感じでしたね。
と、まぁ、アカン所ばかり書いてきましたが、
はじめに書いたように、主役の俳優に説得力があるから、
こう、つらつら書いてきた程、ダメダメな映画には見えないんだ。
まあ、消化不良な感は多々あるけど、まぁ、いいんじゃない?くらいの。
であるが故に、この映画について何か言おうとすると、
ダメな所を挙げるしかなくなる、と。
そういう感じです。