報道によると、今年もNORAD (ノーラッド=北米航空宇宙防衛司令部) が、
恒例となっているサンタクロースの追跡中継を行ったそうだ。
この様子は、ネット上で世界中に配信された。
NORADは、弾道ミサイルや軍事衛星などの脅威から北米地域を護る監視・観測活動を行う機関で、
アメリカとカナダによって運営される本来は軍事部門の組織。
にはこのスタイル。
ではなぜ、
このNORADがサンタクロースの追跡というファンタジックなプログラムを実行するようになったかというと、
次のようないきさつがある。
1955年、アメリカ・コロラド州のシアーズ百貨店が、クリスマスの子供向け企画として、
コロラドスプリングスの新聞にサンタクロースの電話番号を記載した広告を出した。
ところが、
この広告の電話番号が、誤植によりNORADの前身である大陸防空司令部 (CONAD) のものと同一だったため、
防空司令部に、サンタさんとお話ししたい子供から電話がかかってきてしまった。
すると、電話を受けた防空司令部の担当者 (ハリー・シャウプ大佐といわれている) が
サンタクロースとして対応したことで評判になり、
それ以来、防空司令部がNORADに代わってからも、サンタクロースの現在位置を知らせるミッション (“NORAD Tracks Santa”) が継続されているというわけだ。
このように、ことの発端は電話番号の間違いだったのだが、
考えてみれば、ミサイルの監視や追跡などを行う防空司令部が、
国境を越えて世界の空を飛び回るサンタクロースの位置を調べて公表するというのは理にかなっている。
NORADも、なかなか粋な計らいをしてくれるではないか。
だが、サンタクロースの追跡にかまけて、
肝心の北米の空の護りがおろそかになるのではと危惧する方もいらっしゃるかもしれない。
でも、そこはNORADもそつがない。
約1200人といわれる電話オペレーターなどのスタッフは、軍や民間から募ったボランティアで、
本来の防空任務は、正規のスタッフがちゃんと遂行している。
また、サンタ追跡ミッションの経費は協賛企業によって賄われ、国民の税金は使われていない。
現在では電話だけでなく、前述のようにウェブサイトでの “実況中継” も行っていて、
公表されている2019年のデータでは、
およそ890万件のアクセスがあったという。
この数字は、主に12月24日から25日朝にかけてのものである。
おそらく今年も、世界中から多くのアクセスがあったことと思う。
※12月24日フィンランドを空飛ぶそり
で出発するサンタクロース御一行。
(サンタと9頭のトナカイ)
クリスマスが終わり、世界中の子供たちにプレゼントを配り終えたサンタさんは、
今頃フィンランドの自宅に戻って「やれやれ」と、サウナにでも入ってくつろいでいるのではないだろうか。
しかし、各国の軍の内部にこういうシャレのわかる人たちばかりなら、戦争も起こらないと思うのだが。
来年こそ、戦争や災害のない平和な世界であってほしい。
そんな願いを込めて、今年の私のブログも “仕事納め” としたい。
それでは、
みなさん、よいお年を。
【おことわり】
本文中で使用しました画像は、NHKニュース、Wikipedia などから引用させていただきました。