求められる獣医学教育 | 札幌美容形成院長日記

求められる獣医学教育

 平成29年7月20日、朝日新聞朝刊の記事です。  (耕論)求められる獣医学教育  ■欧米で通じる人材養成を 伊藤茂男さん(北海道大学名誉教授)  獣医師の仕事はペットや産業動物の診療だけでなく、家畜の感染症対策や食品・食肉衛生、動物愛護など多岐にわたり、私たちの生活に密着しています。従って、獣医学教育の質の低下は、生活の質の低下につながりかねません。  国内には16の獣医学系大学がありますが、国立大学の学生の定員数は1大学で30~40人で、教員数もほぼ同じです。欧米の大学は学生も教員も日本の約3倍います。日本では限られた教員数で幅広い分野を教えざるを得ません。  そこで、感染症対策や小動物医療の高度化など社会ニーズに対応した獣医師養成に向け、改革が進んでいます。その一つが「モデル・コアカリキュラム」の策定です。いわば学習指導要領のようなもので、例えば「内科」は「消化器病」「血液免疫病」などに細分化され、教育の充実を図りました。また、二つの大学の教員が双方の学生に教える共同教育も進んでいます。  こうした改革が進む中、国家戦略特区での獣医学部新設が決まりました。しかし加計学園の提案書を読んでも、既存の大学との違いが見えてきません。2015年の日本再興戦略で示された新設の条件に合うとも思えません。  既存の大学では対応が困難な場合という条件がありますが、加計学園が提案する感染症などの危機管理対策人材育成は、既存の大学も取り組んでいます。卒業生は公務員として活躍しており、鳥インフルエンザや口蹄疫(こうていえき)の広がりを最小限に抑え、国際的にも評価されています。新たに対応すべき分野として、創薬などのライフサイエンスを教えるとしていますが、講義だけで研究者の育成はできません。  四国は公務員が足りないから作るとも言っていますが、学生は自分の希望する分野にしか就職しません。卒業後も大学が所在する地域に残るとは限らないのは、既存の大学の例を見れば明らかです。  日本の獣医学教育の進むべき道は、欧米でも通用するような獣医師を養成することです。その試みの一つとして、複数の大学が欧州獣医学教育協会の評価を受ける準備を進めています。現状のままではいずれ、欧米先進国のみならず、アジアの獣医系大学からも取り残される恐れがあります。国際的な第三者評価を得ることができれば、日本の獣医学教育を国際社会にアピールすることもできます。  薬剤師教育を充実させようと6年制になった薬学部では新設が相次ぎ、学生定員が5割増えました。しかしこのため、入学定員を満たせない大学もでてきています。むやみに獣医学部新設を認めれば、教育の質が低下する可能性もあります。国はこのような問題を精査してから、新たな獣医師養成のかじ取りをして欲しいものです。(聞き手・岡崎明子)
伊藤茂男先生(北海道大学名誉教授) (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■  今朝の朝日新聞には、  北海道大学名誉教授  伊藤茂男先生  産業動物獣医師  立川進先生  作家  畑正憲さん  の3人の意見が掲載されていました。  どの先生のご意見も、  160人定員の獣医学部新設に疑問を持っていらっしゃいます。       ■         ■  忖度そんたくと印象操作  2017年6月7日の院長日記に書いた通り、  一度に160人の学生に、  実習で教えるのは、  医学部も、  獣医学部も、  とても大変なことです。  医学部の定員で160人のところはありません。       ■         ■  技量不足の…  粗製濫造獣医師が増えるだけです。  加計学園の獣医学部定員を、  せめて半分の80人にすべきです。  160人の新入生をまともな獣医師に育てるのは、  とても大変なことです。  支持率が低迷している安倍晋三首相は、  これから国会で丁寧に説明してくれると思います。       ■         ■  どうなるかわかりませんが、  このままだと、  加計学園に獣医学部を新設しても、  6年間で卒業できる学生が定員の何割になるのか?  獣医師国家試験合格率がどうなるのか?  私はとても心配しています。  私は60人の入学定員でいいと思っています。