合格体験記2023・その14.1 | 渋谷美術学院、代表のひとりごと

渋谷美術学院、代表のひとりごと

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合格体験記2023・その14

 

Mくん 東京都 都立豊多摩高校 現役合格! 

 

推薦入試合格

多摩美術大学 生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻

 

高2になり進路を考え出す時期、

私には明確な目標がありませんでした。

ただ幼少期からモノづくりや

家電を見たりするのが好きだったので

何となくそのような進路はないかと母親に相談すると、

美大という選択肢と

美大予備校というものがあると教えてくれました。
美大について一切の無知でしたし

美大のための予備校があるということも

そこで知りましたが、自分の興味を

デザインという側面から学べるということに面白さを感じ、

美大を目指しはじめました。

まずは話を聞きに行こうと思い

3校ほど面談の予約を取りました。

合格者数を見せられて校舎見学をして

これで終わり?という感じで終わるような面談の後、

最後に足を運んだのが渋谷美術学院でした。
何を判断基準にすれば良いかも一切分かりませんでしたが、

他の予備校とは異質な雰囲気であることは読み取れました。

制作中の雰囲気も楽しそうで、

なにより派手髪にサングラスで登場した

山本先生には驚きを隠せませんでした。

美大、美大受験について何も知らないことを伝えると、

山本先生は「講評見ていけば?」と言って

プレ春期の講評に参加させて下さりました。
そこでは一人一人の作品と向き合い、

その作品の一部分の描きまで講評をしていて、

それぞれの強みを活かすと話していたことに納得しました。

それが渋谷美術学院へ行くことの決め手となりました。


初めての春期講習では驚くことが多々ありました。
受験の課題と同じように絵を描く思っていたら、

ワークショップといって「線」だけで他人と表現する課題が出たり、

ギャラリーを見に皆で銀座に行き「その1日」を作品にしたりと、

渋谷美術学院ではこんなに楽しいことを出来るんだと思う反面、

直接的に受験の為になること

(鉛筆デッサンや色面構成/色彩構成みたいなこと)を

していないような気がして不安にもなりました。
 

しかし、初日と最終日のデッサンを

比べると上達しているのが一目瞭然でした。

 

それはおそらく自分とは違う見え方やアイデア、

アプローチの仕方をギャラリーや講評で感じ、

それが絵に現れたからだと思います。
今となってはそれが

「受験勉強は教えない」ということだと理解しています。

ただ、常に一定の一目瞭然の成長をすることは当然なく、

何度も何度も行き詰まることがありました。
その中で大きな転機となった山本先生の言葉があります。
渋谷美術学院で何度も描く「花と両手」という

デッサン課題の講評で、私は山本先生に

「花好きじゃないでしょ?」と言われました。
いきなり言われたその言葉に戸惑いを隠せず、

「いや別に好きじゃないけどな・・・」と思いながら

「はい」と答えました。
この質問の意図が分からずそこでは流してしまいました。

数日経ってからその言葉の意図を解釈しようと

講評された絵と向き合いました。
すると作者は確実に花を好きでは無いと

分かるような絵がそこにありました(当たり前ですが)。
もっと言語化すると、

花の美しい部分が見えにくい切り方や

手と花のどちらが主役なのか分からない構図、

花の持つ固有色と同じような

色の乗り方をした手などが明確に見えてきました。
私が絵をそのような角度から見られたのは、

「花好きじゃないでしょ?」という言葉から

「好き」について考えさせられたからです。


もし私が花を好きだったら、

私の手よりも大きく画面に入れたいだろうし、

雌しべの形から花びらの厚さ、

青々しい葉の葉脈まで美しく表現したいだろうな、と。


多分、山本先生の

「花好きじゃないでしょ?」という問いかけは

「花を好きになれ」という意味ではなく、

「花の魅力が十分に伝わっていない」という

メッセージだったのだと思います(先生の本心は違うかもしれません)。

制作において様々な課題やモチーフがあり、

それらをすぐに好きになれれば

良い作品が生まれるかもしれませんが、

それは不可能に近いと思います。
大切なのは好きな人の立場になった時に

どのように絵に表すか、ということを

山本先生の言葉をきっかけとして

何枚も制作をしていく中で学びました。

この学びはこれからにも大きく影響すると思います。
モノづくりの際や製品を(企業などに依頼されて)デザインする時には、

必ずしも自分の好きなものと関われるとは限りません。
その時に1度その製品を好きになってみて良さを見つけ出し、

それを新たな形にデザイン出来るような、

柔軟な視点を持てるようになりたいです。

日々の制作でも、

単純に「好き」「嫌い」で描き始めるのは

本当に勿体ないということを学びました。
何となく好きだからとか、

何となく嫌いだしやってみても失敗しそうだから、

と思ってアイデアを決めていたこともありました。
しかし今振り返って、その「好き」は

本当に言語化出来て好きなところを100個挙げられるか、

その「嫌い」は何が好みではないのか、

本当はそれに対して無知なだけでは無いのか、

という事をその頃の私に問いたいです。

自分の好き嫌いに真面目に向き合えば、

好きなデザインの共通点や、

今は嫌いなその表現に挑戦しないことが

実は本当の失敗であるということに気付けるはずです。

飛躍しすぎかもしれませんが、

山本先生の些細な問いかけから私はこのことを学びました。
またその学びは実際の入試にも活かせたと感じています。


渋谷美術学院に入ってから今に至るまで、

私は様々な人と出会いました。

細かく相談に乗ってくださる講師の方や

デモストで実力を魅せて下さる方、

自分では思いつきもしないアイデアをする仲間など、

今まで経験したことの無い出会いでした。

また、その出会いのきっかけでもある山本先生。

私は渋谷美術学院で関わった全ての人に感謝しています。

本当にありがとうございました。

そして、どんな時も支えてくれた両親。
私の進路を尊重してくれてありがとう。



お世話になりました。