TVアニメーションの『新世紀エヴァンゲリオン』の最終2話を、完全新作で描き直した完結編。
だから、テレビ版エヴァの第弐十四話の続きでもあり、登場人物たちの精神世界が描かれていて、どういうことなのかよくわからないあの最終2話の一方で、現実世界ではこうなってました、みたいな。
今回は、冒頭に碇シンジ役の声優、緒方恵美さんのメッセージから。
以下、ネタバレしてます。ご了承ください。
無気力になったシンジをエヴァ初号機に乗せようとして、シンジをかばい後ろから撃たれてしまうミサト。
こんなときでも自己否定をするシンジに、もしエヴァに乗らなかったら、「許さないからね!」と激しい感情を見せたあと、父親からたくされた白いロザリオを、今度はシンジにわたす。「約束よ」と、生きて帰ってきてね、と。
シンジにキスをして、「大人のキスよ。帰ってきたら続きをしましょう」
シンジが押され、驚いている中、エレベーターの扉がすぐに閉まる。すると、ミサトはもう立ってもいられなかった。壁には、血が。
口もとをぬぐったシンジが、手に血がついたのを見て泣き出す。ミサトさんが、もう長くはないと気づいた。
あのシーン。最後に急に大人の女性としてシンジに接していて、映画館で観たときはちょっと戸惑ったことを思いだした。
でも、改めて観ると、励ますようなものだったのかな。
でも人類補完計画で、人類がひとつになっていく途中では、大学生時代らしきミサトが加地と部屋でいちゃいちゃしていて、それをシンジが嫌悪感に満ちた表情をしてる(2人のその最中を見てる?)アダルトなシーンがあったけど。
テレビ版のアニメでは、これをミサトがすごく嫌がってたけど、劇場版では特に抗議することもなく。もし人類補完計画が、過去の人に知られたくない記憶も他人と共有する、だとしたら、絶対嫌だよな。
ベークライトで固まった赤い物質の中にある初号機。無気力なまま、初号機に搭乗できないでいると、どこかからエヴァシリーズと戦闘中のアスカの「ママが見てるのに!」という声が。シンジが「ママ……、母さん」とつぶやくと、急に壁が振動し、エヴァの手が動いた。
レイとリリスの融合を目指すゲンドウ。そこに、リツコが現れピストルを向ける。MAGIを自爆させ、ゲンドウと心中を試みるリツコ。が、作動しない。カスパーが裏切って失敗。MAGIは、母親の「科学者として」「母として」「女として」の自分を移植しているそうだけど、女としての部分が宿っているMAGIのカスパーとしては、ゲンドウを死なせたくないと判断したってことか。
このとき、後ろにいる裸のレイを守るように前に立ちながら、リツコにピストルを向け、何か話したけど音声がないゲンドウ。
リツコが「嘘つき」と言ったあとゲンドウに撃たれるんだけど、なんて言ってるんでしょう。「いままでありがとう」とか。
一方、活動限界まであと少しのエヴァ弐号機。刺したり、殴って出血させたり、1対多数で戦い続ける。が、エヴァシリーズの持っていた武器が変形。ロンギヌスの槍の形に。弐号機のA.T.フィールドがつらぬかれ、頭部に刺さり、このタイミングで停止する弐号機。目もとをおさえて絶叫するアスカ。そういえば、パイロットには痛みが伝わってるんだよな。
しかもこのあと、エヴァシリーズはS2機関で再起動。弐号機は、大量の鳥に食われるように攻撃され、エヴァの内臓やらなんやらが引っ張り出されるグロい状態に。ネルフにいるマヤ、パソコンで見ていて何が起きているかわかり、吐き気に口をおさえる。
これによって左目と右腕を負傷したアスカ。
巨大化したレイと見つめ合い恐れおののくシンジ。でも、カヲルも出現し、そこで心をひらくシンジ。初号機はエヴァシリーズとともに儀式がどんどん遂行され、初号機とロンギヌスの槍が一体化し、初号機は赤い樹のような形に。中にいたシンジ、このときどうなってるんだろう。
ネルフにいた人たちが、レイが近づくことで次々とLCLの黄色い液体に。レイが姿を変えるのは、好意がある人らしい。
日向マコトはミサトさんが好きだったからミサト。
が、青葉シゲルはそういう人がいなかったのか、大量のクローンのレイが寄ってきて、すごい怖がりながらという最期。
マコトは、生前は上司と部下の関係で、かなわかなった気持ちが満たされるような終わり方だったのに、この差がかわいそうになってしまう。誰か好きな人がいればね……。
マヤは、同性愛っぽい感情がリツコにあったってことなんでしょうか。撃ちたくもないピストルを持たされたり、周囲でどんどん人が死んでいく中、大好きな先輩が来てくれて、後ろからキーボード叩いてくれて。ハグされて、心から安心したようにも見えたけど。
で、いろいろとあって(だいぶ省略)、人通りのあるどこかで撮影された、プラグスーツのレイ、制服のアスカやミサトにコスプレしてる人たちの後ろ姿とか、実写の映画館の客席の映像とかが流れる。ピアノの音色といっしょに。
シンジが、たとえ人に傷つけられても、また「みんなに会いたいと思った」ことで、人類補完計画が頓挫。人類はひとつにはならなかった。
地球上に、顔半分になった巨大化したレイ。地上に横たわるアスカとシンジ。アスカは左目と右腕に包帯が巻かれていてかなり痛々しい姿に。
シンジに人類の希望が託されたわけだけど、シンジはアスカに馬乗りになって、首をしめる。すると、包帯の巻かれた右腕でシンジの頬をそっとなでるアスカ。手を止め、アスカの顔に涙を落とすシンジ。
「気持ち悪い」とアスカがつぶやいて、「終劇」。
これ、シンジとアスカで、アダムとイブみたいになってねってことなのか。だとしても、あまりうまく行きそうにないラスト。
第25話の「Air」の英語のタイトルが、「Love is destructive.」
訳すと、「愛は破壊的である」
そして、第26話の「まごころを、君に」は、「 I need you.」
これって、シンジが必要としたのが、アスカだったってことかな。
ちょっとシンエヴァの内容に触れるけど、
これと比べるとあっちのほうが、人類は生き残ってるし、シンジは大人の姿に成長。あっちのほうが明るくて希望のあるラストだったな。
すでに数十年前に見たことがあるので、どういう結末になるか知ってるとはいえ。
Air終わりの、出演者がDNAのようならせんに回転しながらスクロールしていくのを見て懐かしくなったりして、知ってるからこその楽しみ方。
改めて観ても、わからないところだらけだし、グロさとか性的な描写とかすごかったな、と思いだしました。