おおかみおとこには、名前がない。役名も「彼」で、作中でも名前で呼ばれるシーンがない。
彼は、ニホンオオカミと人間の血を引く、最後の一人。誰にも自分の正体を明かさず、一人で苦労して生きてきたという。
この映画は、花の人生の物語。
恋をして、好きになった相手がおおかみの姿を見せても、それでも好きなままだった。2人は同棲。
焼き鳥のくしを、細長いグラスに入れたたれにつけて食べてる。
そして子どもが産まれる。花は、2人の子どもの「秘密」を守りながら育てる。
でも、彼は突然亡くなってしまう。最後の姿が狼だったので、動物の死体として処理された。清掃車に入れられた彼の亡骸。普通のお別れはできなかった。
1人で、シングルマザーとしての子育て。泣き声がうるさいと隣人が苦情を言いに来る。子どもたちが狼に変身したら、遠吠えをしてしまい、鳴き声が周囲に聞こえて、バレそうになる。さらに、子どもの虐待を疑われる。
花は、田舎に引っ越した。廃屋同然の家。花は、一人で修理をする。天井からぽたぽた落ちてくる雨漏り。
周囲に人は住んでいない。子どもたちは家の中で狼になってる。
やがて、姉の雪は人間として、弟の雨は狼として生きていく道を選ぶ。
雪は、狼になった姿を男の子に見せていたけど、母と同じようにこの人と仲良くなっていくのかな、とその後のことを想像させられる。
花が、母親として頑張る姿がたくましい。お母さんって大変。ましてや、一人で、だし。
子どもたちが、狼になって家の中を走りまわり、物を散らかすシーン。かわいいけど、片付けが大変だったろうな。