その4 の続き。
ネタバレしてます。ご了承ください。
まだ書くんかい! と自分にツッコミを入れる。笑
シンジが、裏宇宙(と言ってるけど、これは「心の世界」とか、それぞれの登場人物の「記憶の世界」なんだそうで。普通の、現実じゃない世界らしい)で一人ひとりと向き合って、思いを聞いていく。
お互い、ずっと話さないままだったシンジとゲンドウ。
でも、ゲンドウも実は、父親とうまく話ができなかったり、他人に対して壁をつくっていたり。
シンジとカヲルがピアノの連弾をしたシーンが『Q』であったけど、ゲンドウもピアノが好きだったり、S-DATで耳にイヤホンをつけることで、他人との間に壁をつくっていたり、実はお父さんと共通点があったシンジ。
もしかしたら、シンジがゲンドウと離れたとき、まだシンジは小さかったから、覚えてないだけなのかもしれない。
ゲンドウが、駅で幼いシンジを抱きしめてるシーンが。
なんだ、父親らしいことしてるじゃないですか。
このあと、シーン的には少し先ですが、シンジがミサトから命がけで送られてきた第3の槍を使おうとしたとき。
自分に槍を刺そうとするエヴァ。すると、エヴァが前後に2体に分離。
え、どういうこと? と思っていたら、シンジのお母さん、ユイが出てきた。
ユイの後ろから、ユイを抱きしめてるゲンドウが。エヴァは、前後に並んで立っている初号機と初号機と13号機が獣のような声で叫んで、地部分の体に槍を突き刺した。
シンジ、うつぶせの状態で海の中から上へとゆっくり浮上していく。
このシーンも、旧劇場版『THE END OF EVANGELION』で、ユイとシンジが最初で最後の再会をして、シンジが海の中から浮上していくシーンがあったっけ。
(で、そのあと地球上にはシンジとアスカだけになってるっていう、なんとも言えないラストシーンが待ってるわけですが)
この、両親が再会して、シンジだけがそこから遠ざかっていくシーン、泣きそうになった。
ついさっき、ゲンドウの過去がわかったばっかりっていうのもあるし。
シンジも、お父さんとお母さんが幸せそうな表情を見られて良かったねって思うし。
それに、両親から遠ざかるっていうのは、自立っていう意味もあるじゃないかと。少年から大人になるってことで。
実際、最後にシンジが大人になった姿が出てきたし。
(おそらく、時が止まっていた14年分、歳をとったのでは。ということは、最後、シンジは28歳?)
最後の、駅でシンジがマリと会話してるシーンで、シンジの声が変わっていて。
シンジ役の声優さんが声を変えてるのかな、と思ったんですけど、違う人が演じていたことをあとで知りました。(神木隆之介さんだそうです)
シンジが向き合った一人、レイ。このレイは、たぶん、『序』と『破』に出てきたレイ。
最初に出てきたのは、シンジがゲンドウと戦う前。エヴァ初号機らしきエントリープラグ内で、「シンジがエヴァに乗らなくてもいいように」と、そこにい続けていたらしい。
「碇くんがエヴァに乗らなくてもいいようにする」と言ったけど、『Q』でシンジがエヴァ初号機に乗れなくなったのは、レイが初号機にとりこまれて、そこい続けたからってことか。髪がすごい伸びて、ロングヘアになってる。
で、心の世界では、どこかのスタジオのセットみたいな場所で、ゲンドウらしき長方形のぬいぐるみ? のようなものを抱えてる。
レイから、次の世代をつくるのはシンジだ、みたいな発言が。「ネオンジェネシス」。
ところで、いきなり全然関係ないこと言うけど、レイってヌードを見せることがよくあるなぁと思う。(テレビ版のときもそうだったし)。
実験とかでしょっちゅうほかの人に裸を見られて、それが生まれたときからだったから、そもそも、人に裸を見られることが恥ずかしいっていう概念が無いんだろうな。
心の世界に出てこなかった人、過去を語らなかった人、マリ。
シンジに、どこにいても迎えに行くよ、と言い、言ったとおりにした人。
マリが、冬月と会って、冬月が残していたエヴァシリーズを捕食したあと、エヴァ8号機に乗って、マイナス宇宙にいるシンジを見つけ出した。
エヴァ8号機から出て、海に落ちたあと海面から出てくると、エヴァのプラグスーツではなく、急に制服になってる。これも、エヴァに乗らなくていい世界になったから、ってことなのかな。
マリがいたおかげで、エヴァの暗い部分が多少薄まってた気がする。
最後、シンジと手つないでるし、なんか仲良さそうだし。なんだよもしかして付き合ってるの?笑
エヴァって、誰かと誰かの対話とか、切れてほしくない関係性とか、人と人とのつながりの話だったのかなと思う。
カヲルは、何度もシンジと出会っていて、幼いシンジに話しかけられて涙ぐんでいたシーンがあったけど、それは、自分のことをかすかにでも覚えていたかもしれないから? もしくは、また会える可能性があるって思ったから、嬉しくて、だと思うし。
シンジくんの幸せが自分にとっての幸せだったというカヲル。
人間じゃないかもしれないけど、人を思う気持ち、心はもう、ヒトそのもの。
特に、親子の関係がね。
ミサトが最期に思いだしたのは、息子の加持リョウジ。加持さんと同じ名前つけたんだね。
それはもしかしたら、父親が誰なのかすぐにわかるように、っていうミサトなりの息子への配慮だったのかもしれない。
カヲルの言葉を借りるなら。
ヒトは、誰かと出会うために生まれてきて、ひとりじゃもったいないような幸せを分かち合うために生きているのかもしれない。
すみません、長すぎて。
なにしろ、シンジやアスカと同じ、10代のときから見てるアニメなんでね、どうしても思い入れが。
こんな風に、「これってこういうことなのかな?」とエヴァを見た人たちで話せるようにしてあるのが、エヴァの良いところだと思う。
逆に良くないところは、はっきりと「これはこういうこと」と言ってくれないので、答え合わせができなくてすっきりしないところ。
まさか、『シン』で、謎を残すようなシーンが出てくるとは思わなかったなぁ。
一番驚いたのは、シンジが幸せそうな結末になっていたことかもしれない。
『THE END OF EVANGELION』のような、シンジとアスカが生き残りはしたけど、アスカがシンジにはっきりと「気持ち悪い」と言って拒絶反応を出すっていう、あまり救いのない結末を見ているから、こういう風になるとは予想してなかったというか。
あ、こうなるんだ、って。
亡くなった人もいた(ミサトとか、加持さんとか)けど、その人がどんな選択をしたか、どんな最期を迎えたのか、わかったし。
ミサトは『シン』で、シンジに槍を届けるために一人、艦長として頑張ったけど、最期は母親として、シンジと息子が映ってる写真を見て、母親らしいことをできなかったと「ごめんね」と言うシーンは、切ない。
アスカは、亡くなったんでしょうか? ちょっとわからないな。(途中でオリジナルのアスカにLCL化させられて、あれで亡くなったと思ったんだけど、最後、駅の向こう側にいたし)
アスカ、カヲル、レイが駅の向こう側にいる、っていうのは、シンジが「エヴァのいらない世界」を願って、本当にエヴァのいらない世界に変えられたあと、またその世界で生きている、ということ?
はっきりとわからない部分もあるけど、全体的にハッピーエンドだった、と言ってもいいのではないでしょうか。
シンジとマリが手をつないで、二人で駅の階段を駆け上がって、実写映像という「現実の世界」に出ていったのを見て、
エヴァのファンも、アニメの世界から現実に出ていきなさいよ、なんてメッセージがこめられてるのかな、なんて思いました。
エヴァの呪いのように、ずっと14歳のままではいられないからね。精神的に子どものままでいないでね、もう大人になったんでしょ? って。
『Q』のあと『シン』が公開されるまで、長かったし、正直、待ちくたびれたけど。
テレビ版のエヴァから見ている者としては、最後まで見て良かったな、と思いました。
庵野監督、エヴァに関わった方々、本当にお疲れさまでした。