パラサイト 半地下の家族 | 想像と好奇心でできている

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野いちごでは、 『テレビの感想文』ときどき更新。

ネタバレしてます。

 

 

 

窓の向こうは道路で、画面の左に靴下が干してある室内から、ゆっくりと画面が下がっていく。

そこは、半地下の家。

 

チキン屋と台湾カステラ屋の事業に失敗した無職の父親のキム・ギテク、元メダリストの母親チュンスク、受験に落ち続け大学に行けなかった息子ギウと、美術大学に行きたいが予備校に通うお金がない妹のギジョンが暮らしている。

全員が失業中で、ピザの箱を組み立てる内職をしている。

無料Wi-Fiを探してスマホを使ったり、便所コオロギが出たり、路上で消毒が始まると、タダで消毒できるができるから窓を開けておけと父親。すると、白い煙でなにも見えなくなる室内。

 

ピザの箱が4分の1廃棄処分だと、給料から引かれてしまう。箱を取りに来た女性に、人手不足なら自分をどうですか、とギウ。

 

このシーン、最後のほうに出てくるシーンやセリフにつながってる。(窓があいていたら入ってくる煙とか、虫が出るような空気がきれいじゃなさそうな部屋とか)

 

大学生で、留学するという友達から、山水景石という石の置物をもらったギウ。それを見て、「食べ物のほうが良かった」と母親。

エリート大学の友達に家庭教師を代わりにしてほしいと頼まれる。

自分は学歴がないと自分を下に見ているギウに、家庭教師をする女の子が好きで、卒業したら付き合うつもりだから、ほかの大学生にとられないようにしてくれという。友達だから信じている、と。

ネットカフェのパソコンで証明書を偽造するギウ。タバコを吸いながら、あっという間につくるギジョン。

 

家は高台にある、大きな二階建ての家。

有名な建築家のつくった、日本庭園の広い庭、家政婦が働き、娘の大学受験のために家庭教師を雇える、お金持ち。

父親はIT企業を経営するパク社長、料理をすべて家政婦にまかせている美人な母親、大学受験をひかえる娘、カブスカウト(知らない単語だったけど、ボーイスカウトのことだった)でインディアンにあこがれている落ち着きがない弟が住んでいる。

英語の家庭教師として高給をもらったギウは、ギジョンをジェシカという美術の家庭教師として母親に紹介する。

 

母親は息子に絵の才能があると思ってるんだけど、描かれた絵は子どもが描いた、なにが描かれてるのかわからない絵。

ギウがチンパンジーだと言ったら自画像だったし。間違ってるとわかったら「そうだと思いました。大人にはとらえられないものをとらえている」などとすぐにフォローするギウ。

 

ベルを押す前に、ジェシカのプロフィールをを歌って思いだすギジョン。「スキゾフレニア」の傾向が出てると息子の絵の右下の黒い部分を指し、母親を不安にさせる。実はネットで知った絵画療法について話しただけ。

母親はギジョンを息子の家庭教師として雇う。

 

ここからギジョンが仕掛ける、上流階級の家に入りこんでいく計画がすごい。

運転手の若い男性がギジョンを家まで送るとしつこく言ってきて、自分に気があると気づいたらしいギジョン、なぜか下着を脱いで車内に置いていく。

それを見つけた父親は、妻に、運転手が雇い主の車をホテル代わりにしてる、相手は下着を置いていくような頭のおかしいやつだ、コカインをやってる、と想像を広げて、ギジョンたちの狙い通り運転手は解雇される。

若い人よりベテランの人はどうですか、とギジョンは父親ギテクを運転手として紹介。パク社長を後ろに乗せて運転する。

 

パク家で長く働いている家政婦に桃アレルギーがあると知り、桃を手にギジョン、自宅の近くらしき道路を歩いている。桃の皮の毛をとって試験管に入れ、そうっと家政婦の後ろから吸わせると、せきが止まらなくなった。病院にいた家政婦を、健康診断で病院にいたという父親がスマホで撮影。結核になったと話していたと母親に言う。

母親と買い物から帰ってきたギテクが、せきをしている家政婦を母親に見せ、こっそりゴミ箱のティッシュに赤いソースをつける。

二階の窓から庭のテーブルにいる母親と家政婦を霧氷表で眺めている弟。解雇された家政婦が、大きな荷物を持って去っていく。

 

そして、2人分食べるけどいい家政婦だった、妻は料理ができない、このままだと部屋がゴミだらけになるというパク社長に、家政婦を派遣する会社の名刺をわたす父親。連絡先の電話にはギジョンが出て、収入証明とかそれらしい書類を用意するように母親に言う。家政婦として入ってきたのは、母親。

こうしてキム一家は、パク一家の家に入りこんだ。

 

女の子とキスをしたギウ。妹のギジョンを、ギウと付き合ってると思ったり。かわいい。残念、あの友達。

弟の誕生日でキャンプに行ってパク一家が家からいなくなると、リビングで酒を飲み食べ物を食べ、我が物顔でいるキム一家。お風呂で泡ぶろに入ってるギジョン。庭で、ハンマー投げみたいになにか投げ飛ばした母親、どこかでガラスが割れた音がして警報が鳴る。

いつか付き合うつもりだとギウ。もしいま帰って来ても、「ゴキブリみたいにさーっと隠れる」と母親。外は雨が降り、雷が鳴っている。

キャンプから帰って来るんじゃないの? と思ってると、ベルが。

 

前の家政婦が訪ねてきた。これが、びしょ濡れの黒いレインコートで、すごい怖い。地下に忘れ物をしたからあけてほしいと言うので、家に入れた母親。地下に行ったまま戻ってこない。

地下に行くと、元家政婦が横になって棚を動かそうとしていた。壁に隠し扉があり、入っていく元家政婦のあとを追うと、中年の男が。

すでに地下で暮らしている男がいた。元家政婦の夫だった。家政婦の妻が食料を運んでいたけど、ずっとできなかったという。

このとき男が飲んでいた白い液体がなぜか哺乳瓶で、すごい気持ち悪い。

 

この家には、戦争から逃れるための地下シェルターがあるが、パク家は存在を知らないという。

彼は借金取りに追われている、ここで暮らしていることを黙っていてほしいと母親を「姉さん」と呼ぶ夫婦に、警察を呼ぶと母親。

母親のあとから降りてきたほかの家族も隠れて話を聞いていたら、間違って出てきてしまい、スマホで動画撮影されてしまった。家族だとバレてしまい、弱みを握られたキム一家。

 

立場が逆転し、さっきまでいたギウたちがいたリビングにいる夫婦。いままでここでバレないように二人でいたという。

ボタンひとつでミサイルが飛ぶ、と北朝鮮のニュースの口調をまねて、キム一家の両手を上げさせたまま、動画で撮って楽しんでいる。

ギウが体当たりしてスマホを取ろうとし、2対4の乱闘に。と、電話が。帰ってきたパク一家。あともう少しで家につくから、ジャージャーラーメンをつくっておいて、と母親。

 

ここから家政婦の母親は肉を切ってインスタント麺をゆで、夫婦を地下に運んで縛り、ちらかったゴミをスマホといっしょに片づけ、母親以外は家に隠れて、とすごいチームプレーで見事に間に合った。が、元家政婦が地下から階段を駆け上がって出てきそうになり、母親が後ろに蹴っとばした。元家政婦、階段を転がり落ち頭をぶつけてしまう。

パク社長の写真に「リスペークト!」と叫んで、なにかのスイッチに頭を叩きつけている男。実はモールス信号で、廊下の電気を点滅させていた。

 

脱出したいのに、弟が庭のテントから出てこない。リビングのテーブルの下にいるギジョン、二階の女の子のベッドの下にいるギウ、地下にいる父親は男を縛って動けなくした。この男も父親と同様、事業に失敗し、キム一家からのお金で生活していた。

 

ギウのいるベッドに犬が頭を入れていて、女の子がのベッドの下を見なかったのでセーフ。出ようとしたら、庭にいた弟から父親に無線が。脱出できず、父親とギウとギジョンはテーブルの下に。ゴキブリのように隠れるしかなかった。

ソファで寝ているパクは、前に寝そべっている妻に、運転手から切り干し大根のような腐った雑きんのような「においがする」と話す。実は足もとにいるんだけど、そうとは知らず、そのにおいが臭い、と。自分の服のにおいをかぐギテク。

夫婦がソファで行為を終えて眠ったあと、母親からのLINEで脱出する3人。が、弟からの無線で起きた夫婦。父親、暗闇で動かず、バレずにガレージから外に脱出。

 

大雨で増水し、路上には水があふれていた。階段を下りていたギウは立ち止まり、水浸しになった足下を見ている。

半地下の家の中で、トイレから黒い水が。汚水があふれる家の中で、天井裏から取り出したタバコをふかしてトイレに座るギジョン。表情が、すごい無表情。石を持っているギウ。妻のメダルを持った父親。

それぞれなにを大事にしてるのかがわかるシーン。ギウはなんで石? あの友達からもらったものだから、学歴とかお金が欲しいって暗喩なのかな。

 

上流階級の家がある上から、汚水が流れてきて、半地下の家に。

ギウたちは体育館で避難生活に。

父親はギウに、計画はない、無計画ならうまくいかなくなることもない、と言う。石を抱えているギウ。なんで石を抱えているんだと聞かれ、「この石が離れないんだ」と。

 

翌日、パク社長の家はなんともない。庭のテントも流されていない。母親は、大雨のおかげでPM2.5もない、いい天気になったわねと、下流社会の人たちのことなんてまったく知らない。急に息子の誕生日パーティを開催する。

家に来るように電話で言われるギジョン。避難所で支給された服、争奪戦になっている。

 

息子はこの家で幽霊を見た。そのトラウマを克服したいと、夫とギテクにインディアンの格好をさせ、ギジョンがケーキを持って出て行くサプライズをするという。インディアンの格好で隠れているギテクと父親。無表情で、あまりやりたくなさそう。

「今日は勤務日です」これも仕事だと。なんとなく、雇われている立場だとギテクに思わせるような態度。

 

ギウ、窓からパクの娘と庭を見ている。

「みんな優雅だな」「急に集まったのにクールで、とても自然だ」。そこにいるのは、自分と違う環境にいる人たち。地下に、石を持って向かう。

が、生きていた元家政婦の夫につかまりそうになり、逃げるものの、階段を虫のようにはい上がってきた夫に頭を石で殴られ、キッチンで倒れてしまう。額から流れた血で顔が赤くなっている男は包丁を手に、庭へ。

鉢合わせず、2階から降りてきたパクの娘がキッチンへ。

 

包丁を持ち、しばらく庭にいる人たちを見ていた男。いっせいに逃げる人々。

凶刃に倒れるギジョン。左胸から血が。

刺された瞬間を見て、倒れてしまった弟。これはトラウマになってしまうんでしょう。

倒れた娘に駆け寄るギテク。それを見て、車のキーを貸せと運転手に言うパク。

逃げていく人たちの中に、ギウを抱えて走るパクの娘。

包丁で刺されそうになった母親は、男に肉が刺さったバーベキューの串を刺した。

そのとき、鼻をつまんだパクを見て、ギテクはパクを包丁で刺した。

 

地下にいた男に刺さったバーベキューの串の肉に、パク家で買われている犬が食らいついてる。それを上から眺めるようなシーン。すごい嫌な光景で、うわーって思いました。

 

事件からしばらく経って、ギウは病院で目を覚ます。妹が亡くなっているのに、笑っている。脳に後遺症があるらしい。

裁判で、ギウと母親は執行猶予付きの判決が下される。

ギウは山に登り、事件があった家を双眼鏡で見下ろす。すでに、別の住人たちがいた。

父親は行方不明になっていた。

家の外壁の電気が点滅していると気づいたギウは、スマホで検索してモールス信号を解読。

 

父親は、地下にいた。

事故物件になったあと、なにも知らない外国人の家族と、24時間住み込みの家政婦がいるから、「食料をとるときは命がけだ、命がけ」。

元家政婦は庭に「最近人気の樹木葬」をして埋めた。

父親からのモールス信号を読んだギウは、手紙を書く。石を山に捨てるギウ。

 

僕は働いて、お金を稼ぎ、あの家を買う。そしてお父さんは地下から出てくるだけでいい。光の射す明るい庭で待っていたギウと、地下から出てきた父親が再会し、抱き合う。

という、ギウの計画が語られて、終わり。

 

でも、ギウがあの家を買えるようになるのか。お父さんはそれまで生きられるのか。ギウの計画は、あまり現実になりそうにないけど。それでも少しだけ前向きな終わり方なのかな。

 

ダソンが、モールス信号で「たすけて」とわかったのに無視? したのかなにもしなかったり、息子にはテントや無線とをあげるのに、娘にはあまり興味がないかのような父親と母親のパク家。お金がないけど、会話はあるし、食事は家族みんなで食べるキム家。対照的な家。

 

ラストのその後はどうなったのか。

パク家の息子さんは、精神的にダメージを負って絵画療法が必要になってるかもしれない。

ギウは後遺症が気になるし、お母さんと暮らしていくのがやっとなんじゃないか。

 

においがしみついてとれない=貧しさから逃れられない、という韓国の格差社会。日本もそうだけど、学歴が大卒かどうか、お金持ちの家に生まれたかどうかで、収入や人生に差が出ることもある。

 

最後まで予想がつかないストーリーはすごいと思いました。

けど、陰惨で、救いのない結末。

嫌ぁな気持ちになる映画でした。