白ゆき姫殺人事件 | 想像と好奇心でできている

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ネタバレあります。



 

ツイッターで、ある殺人事件の取材で知ったことを、言ってはいけないのにツイートしてしまう赤星。

被害者が美人だったこと、被害者の務めていた化粧品販売の会社は「白ゆき石鹸」という石鹸が有名だったため、その殺人事件はネットで「白ゆき姫殺人事件」と呼ばれるようになる。

 

赤星に証言する人たちが、そのとき自分が見聞きしたことから「城野美姫が犯人だ」とほとんど決めつけて話しているので、前半は城野美姫が犯人のように思えてくる。

 

それが、後半になるにつれ、思い込みだったり、なんでそうなっていたか、実はこういうことがあったんですよ、とわかっていくにつれて、本当は違う人が犯人だとわかっていく。

 

原作は秦かなえさんの小説。そりゃあ最後まで引っ張られるよなー。

 

で、被害者の三木典子。

美人で、職場の男性はみんな美人だと言うほどの美人。

でも、心も綺麗かというとそうではなく。

 

誰かが自分より上になることを嫌がる、優位に立とうとして、そのためには人を傷つけることも平気でできる、性格にちょっと問題ある人。

同性の怒りを買う。でも本人は優位に立てればいいわけで、気にしてない。

同性からは嫌われるタイプ。

 

特に嫌だなーと思ったのが、後輩におごったあと「いつか返してよね」と言ったのに、ほかに人がいる職場でその後輩が「おごります」って言ったら、「いいよ、自分の後輩ににしなよ」って断る。

好感度上げるための道具にしてるー。うわあー。嫌なやつだー。

道具にされたほうは自分を利用されたわけで、内心ムカっとするよな。

 

その前にあった「いつか返してよね」は二人っきりだから周囲の人は知らない。ましてや、美人だと思ってる同僚の男性たちは、典子の本性なんてまったくわからないわけだし。

女の嫌な部分が、共感できるように描かれてて。

 

その最初の情報提供者である、狩野里紗子。

実は、自分が犯人だと思われないために、赤星を利用していた。

まんまと彼女の思った通りにしてしまった赤星。

物を盗み、なくなったとまわりが騒いでいるのを見るのが楽しかったから、とそれをストレス解消にしていた。

 

三木典子の芹沢ブラザースのボールペンも彼女が盗んだんだけど「茶色いボールペン」とそれを見たことがある人しかわからないことを言ってしまう。

殺人の動機は、自分が何回も盗んでいた犯人だと三木典子にバレてしまい、「クビになりたくなかったから」。

 

でも、事件が解決して終わり、じゃなくて、そのあと赤星の個人情報がツイッターでバラされていく。

城野美姫と同じように、ツイッターの集団での悪意は赤星に向けられ、精神的に追い込まれていく。

 

最後に、小学生のとき、たった一人味方でいてくれた親友の女性が、小学生のときと同じように窓辺でろうそくの火を点滅させて、また昔の友情が復活して終わるっていうのは、救いではあったな。

人の嫌な部分ばかり見て、げんなりして終わり、ってならないのは良かった。