思い出のマーニ― | 想像と好奇心でできている

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野いちごでは、 『テレビの感想文』ときどき更新。

ネタバレしてます。ご了承ください。


ぜんそくの療養のため、一人で北海道の親戚の家に行くことになった杏奈(アンナ)。

中学校ではいつも一人でいる。

「この世界には、目に見えない輪がある」「私は輪の外にいる」

なにか人に対して心を閉ざしている理由がありそうな女の子。


「私は、私が嫌い」いら立っているような口調で心のなかでつぶやく。

お母さんは養母。体が弱い杏奈のことをすごく心配している。


最初から、「あー私もこういうのわかるなぁ」と、自分の思い出を刺激される。

10代ならではの、最後は自分で解決するしかない、そういう悩み。

すでにできあがった女の子たちの輪に入れない。いつも一人。これは辛い。

経験があるので、遠くから女の子たちを見る杏奈の気持ち、わかります……。


湿っ地屋敷には、幽霊が出る、といううわさがあるという。

初めて来たはずなのに、ここを知ってるような気がした杏奈は、引き寄せられるように湿っ地屋敷へ行ってしまう。

かつては外国人の家族が住んでいた。いまでは廃墟と化している。

昼間は潮が引いて、歩いて行けるけど、夕方から夜にかけて潮が満ちてしまうと、海になって、ボートがないと戻れない。閉じこめられてしまう。

湿っ地屋敷の庭で眠ってしまった(倒れたのか、というほどぐっすり眠っていた。そんなとこで寝ちゃだめだよ)杏奈は、夜になって湿っ地屋敷に明かりがついているのを見る。(見た目が廃墟じゃなくなって、きれいなお屋敷になってる)


そこで、金髪の少女、マーニーと出会う杏奈。

自分のことは秘密にしてほしい、と言うマーニー。約束する杏奈。


マーニ―の正体は、杏奈の子どもの頃の空想。

杏奈が幼い頃に、誰が杏奈を引きとるか、親戚がもめているなか、杏奈が持っていた人形が、マーニ―と同じ金髪で、青い服を着ていて、

「これはもしかして、杏奈の空想の友達がマーニ―? 存在しない人?」

と思ったら。


後半から最後にかけて、伏線を綺麗な映像といっしょに回収。

杏奈のおばあさんが少女だった頃。その女の子が、マーニ―。

湿っ地屋敷を舞台に、現在と過去が同じ空間になっていた。

杏奈は夢か現実かわからないけど、マーニ―が大好きで、最後まで恋人みたいに仲良しで。

二人の女の子が出会って、仲良くなって、やがて親友になり、でも、別れがやってくる、二人の世界が終わっていく、そんな切ない話。


でも、杏奈は人と話せるようになった。マーニーのことがきっかけで、さやかと友達になれたし。

悲しいこともあったけど、良かったね、って言える終わり方。

悩みとか、気持ちの揺らぎって、自分にもあったし、誰にでもあることで。

それはずっとあるわけではなく、一時的で、いつか思い出になるんでしょうね。(なんて、ちょっと気取ったことを書いてみた)


宮崎駿監督作品じゃないから、どんな感じかなー、いまいちじゃないといいな(個人的にいいと思える映画だといいな)と思ってました。

ゆっくりとストーリーが展開していくファンタジーという感じです。

テーマカラーがあるとすれば、青でしょうか。(海、空、湿っ地屋敷、マーニーの服、杏奈の人形の服)


あと、杏奈の眼が青い、って前半のお祭りで地元の女の子に指摘されるんですけど、あれってマーニーの正体につながるヒントなんですよね。そんなに早く出てきて大丈夫?(早めにわかってしまう可能性があるし、なくても良かったかも)

気になったのはそこぐらいかな。あとは、赤いメガネのせいか、さやかが「ひみつのアッコちゃんに出てくる女の子に似てるな」と思ったこと。笑(名前わからなくて調べたら、チカコ。積極的に話しかけてきて、ハキハキしゃべる感じと、マーニーの情報を聞き出そうとするところが)


私、父親と娘が別れるって設定、弱いんですよ。

さらに、親友との別れもあって。親友Tといっしょに観たんですよ、これ。

共感したり、思い当たるところもあり、涙腺刺激されました。

2回泣きそうになった。(サイロに降ってきた大雨で、マーニーと杏奈が帰れなくなって、そこにマサヒコが現れ、マーニーを連れて行ってしまうシーン。もうひとつが、潮が満ちて、杏奈が海に流されながら、湿っ地屋敷に窓から見ているマーニーとの別れのシーン)

なんとか我慢したら、観終ったあと、変に涙を我慢したせいで、体に違和感が。

気にしないで、いっそのこと泣けば良かった、って思いました。