レ・ミゼラブル | 想像と好奇心でできている

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日々、思ったことを書いてます。
野いちごでは、 『テレビの感想文』ときどき更新。

ネタバレしてます。


まだ見てない方は見ないほうがいいです。

映画館で見るべき映画なので。






終わったあと、泣いてた。

私、ドライアイなので、泣いてしまうとそのあと眼がかわくので、

映画で泣きたくなっても耐えるんですよ。

最後は無理だったなー。自然と流れてました。


暗転中の客席から鼻をすする音が聞こえて来ました。

皆さん感動されてたようです。


音楽の力だな、と思った。

前のほうの席だったから、音響がすごかったけど。

(革命のシーンの、大砲のドーン! が)


あの登場人物のなかで、印象に残ったのは、

ファンテーヌさんとガブローシュくん。


ファンテーヌさん、最期まで不幸すぎるよ。

お母さん、工場で働いてた同僚の人たちに、たぶん美人だから

嫉妬でみんなから疎外されて、その人たちせいで工場をクビ。

娘のコゼットを預けてる宿屋に払う借金のため、娼婦になり、

髪を売ればお金になるから、と金髪をザックザク切られて、すごく短くなって。

さらに、これもお金になるからと、無理やり奥歯を1本抜かれる。


好きでもない男の相手をして、

そのあと、眼に涙をためて、歌うのが「夢やぶれて」。

昔、スーザン・ボイルさんが歌っていたあれ。

あんなに悲しい歌詞だったとは知らなかった。


ここでちょっと泣きそうになる。

母親だからお金をかせがなくてはならない。

このシーンで、女の悲しみみたいなものを感じて、精神的にダメージ。

ね、ほんと、無情だよ世の中。はあ。(深いため息)


しかし、このあと、また男に、というところで、市長になった

ジャン・バルジャンに助けられるファンテーヌ。

でも修道院で、コゼットの幻影を見て、静かに息を引き取る。

コゼットを自分の娘として引き取ると決めたジャン・バルジャン。


コゼットが預けられてる宿屋。

この宿屋の女主人と、その旦那の二人が商売・・・っていうか、

こっそりお客さんから金めのもの盗んじゃうし。

娘の前で、「鏡を見たら○円」って、ぼったくりの手口を教えてる

お父さん。なんてことを娘に教えてるんだ、この人。


二人ともどっちもどっちで悪い人なんだけど、

楽しそうなシーンなんですよね。コメディで。

とにかく、第一にお金、という価値観の二人。

旦那のキャラを一言で言うなら、「下衆の極み!」(by ハマカーン)。


後半、民衆が立ち上がり革命を・・・となるけど、ひと晩雨が降り、

火薬が湿って使えなくなり、朝になっても来るはずの仲間が来ない。

戦意喪失させ、降伏させようとする兵隊たち。

でも、ガブローシュが歌う。その歌声で、鼓舞される民衆たち。

その声が、子どもだから澄み切っていてきれい。

高らかに歌い上げます。


その後、攻めこまれ、ガブくん、勇ましく前に出て行ったけど、

兵隊の鉄砲で一発、二発撃たれ、さらに頭を撃たれて即死してしまいます・・・。

半日ほどで、たくさんの死体があちこちに・・・。

血だまり、というより血の池ができていて、静まりかえってる町。


町の壁に、眼がひとつ描かれてるんですけど、

あれなんだろう? 神さまの眼? 

あと、しょっちゅう十字架が出てきます。

それはキリスト教のことを意味してるのはわかるけど。


私、ジャン・バルジャンとジュベール警部の逃走劇は、

そんなに心をつかまれなかったな・・・。

たぶん、ジュベール警部の頭が堅いから。苦手なんですよね・・・。

メインのストーリーより、ほかのところに目がいってしまいました。

ふたつしかないんですもの。(と、貴族風に言ってみる)

もっと多様で、柔軟で、そのときそのときの状況に合わせて行動するとか。

私は、ふたつ以外の選択肢もないか、考えるけどなー。


コゼットとマリウスの結婚式で、あの宿屋の夫婦がもぐりこもうとしてた。

しかも、ジャン・バルジャンがかついで下水道をとおったとき、

マリウスをしたいと勘違いして盗った指輪をしていた旦那。

それを本人から指摘されて、動揺する夫婦。

まさに、「鬼畜の所業!」(by ハマカーン)

こんなところで、この人とこの人がつながって、って縁がおもしろい。


この映画のテーマを考えてみると。

「なにが一番大切か」「人にやさしくしましょう」

「一人より、たくさんの人といっしょのほうが人生楽しいよ」

「人生、笑っていられるのが一番幸せ。できれば、愛する人と」


ラスト。フランスで、革命を起こそうとして亡くなった人たち、

そして教会で(血のつながりはないけど)娘のコゼットとその結婚相手

マリウスに看取られ、ファンテーヌさんとともに天国へ召されたジャン・バルジャン。


みんなが合唱。歌声の力強さに圧倒される。

これでもう、涙がつーっと。

金色のエンドロールの文字が流れると、劇中で流れた曲が

クラシックで聞けて。(5、6曲ぐらいかな。ひとつひとつが長い)


いい人もいるし、悪い人もいるし、人としてダメな人もいる。

人間の本質を描いてる。だから色あせないんだな・・・。

さすが名作。いいものを見た。すばらしかったです。