春に由美子にさくらを見せてあげようと彼方此方に足を運びました

 

桜を追い掛け昨年は彼是20回ほど彼女と一緒に歩いて堪能してました

抗がん剤治療に専念し私頑張るからね慎ちゃんと言ってくれてました

無論俺も出来る限りの事は俺に任せてくれればいいから協力しようなと話してました

これ以上ない嬉しそうな顔で妻は顔を私の胸に押し付けてました

何の因果で人口肛門までやる羽目になったんだろな俺達と言うと由美子は元々腸が普通の人より弱かったんだと思うと話してた

 

それより慎ちゃん、人口肛門の清掃とか貼り替えやって貰ってごめんねと悪がってた由美子でした

それが俺の仕事だから気にすんなよと言うと由美子は優しい眼差しで俺を観てくれてました

夫婦の絆です

 

去年二人で願掛けに行った伊佐須美神社へ由美子に菖蒲を見せてやろうと思い現地へ行きました

勿論遺骨と遺影を持ってです

他人の目など気にもしません

 

到着して真っ先に菖蒲の処に向かったらまだ少し早かったみたいでした

たったこれだけかと意気消沈した

由美子たったこれだけしか咲いてないよと話し掛けたら「いいの一緒に見れるから」と

 

 

 

 

 

花は諦めて境内に入りました

いつもの右手を下方に下げて柔らかい彼女の左手を繋いで散策でした

 

一つ目です

二つ目を潜る

そして本堂

これが本堂

随分と小さな本堂です

何年か前に消失し建て替えたそうな 裏に燃え残った石垣がありました

 

昨年これが目に入り売り子の婆さんに聞いたら割れる発泡スチロール状のたまごを石に目掛けて投げると割れれば願いが叶うと言われ全力投球しました

見事に割れて後ろで観てた由美子がニコっと笑って願い叶うといいね慎ちゃんと言っていた

ステージ4でも抗がん剤で完治してる人だって実際居るんだから絶対に治してやるからな由美子とあそこで話したのを思い出した私です

私ね、慎ちゃんと一緒になって本当に良かったと思ってると告げた由美子でした

知り合った頃と全然変わんないもんね慎ちゃんの優しさはと言ってました

 

あれほど愛した大好きな由美子がよもやガンを患おうとは夢にも思わなかった俺です

余命四ヶ月と宣告されて治療開始で1年5ヶ月生きてくれた由美子です

脳梗塞さえなければまだまだ俺と楽しい生活が出来たのにと考えると本当に癌が憎い