肩を痛める方って、年齢を問わず多いですよね。
なぜか、分かりますか?
壊れる理由を知ると、家で出来ることが分かります。
[肩の構造]
「肩関節」とは肩甲骨と上腕骨が作る肩甲上腕関節のことをいいます。
この関節の周りには腕を上げるときに必要な関節がいくつもあります。
・鎖骨と肩甲骨で作られる肩鎖関節、
・鎖骨と胸骨で作られる胸鎖関節、
・上腕骨と肩峰の間で作られる第2肩関節
・肩甲骨と肋骨の間で作られる肩甲胸郭関節
など4つあり、肩甲上腕関節と合わせて5つあります。
これらがスムーズに動くことで、手を頭の後ろで組んだり、
上の物を取ろうとするような腕の動きが可能になります。
これらの関節の内、一つでも動きが悪いと他の関節に負担がかかります。
また、この中の肩鎖関節と肩甲胸郭関節は、肩甲骨が関わっており、その肩甲骨の解剖学的な理由からこの2つの関節は不安定な構造になっています。
<肩甲骨>
・鎖骨の下で靭帯で吊り下げるように連結しており、浮いた状態になっている。
・肩甲骨は肋骨に張り付くように存在していますが、上下左右の筋肉によってつながっているだけで、安定性は低い。
つまり、肩甲骨は不安定なのです。
不安定だから、筋肉で固めやすいのです。
肩甲骨周りの筋肉が固い人が多いのは、このような解剖学的な理由があります。
〈固まりやすい筋肉〉
固くなりやすいのが、アウターマッスルである僧帽筋の上部、菱形筋、肩甲挙筋(赤色の筋肉)です。
どれも、肩甲骨の上から付いている筋肉です。まさに吊り下げている感じです。
これらの筋肉が固いと、肩周りや首回りの筋肉がボリューム感があり、張って見えてしまいます。
また、筋肉が固いと関節の動きを制限します。
[使えていない筋肉]
それとは反対に多くの人が使えていないのが、インナーマッスルである脇の下の前鋸筋(青色の筋肉)です。
これは、下から支えているようにも見えます。
実際に、この前鋸筋がしっかり使えていると、僧帽筋などのアウターマッスルの負担は減り、固まりにくくなります。
〈体幹と繋がる前鋸筋〉
前鋸筋は腹斜筋と繋がっています。
この腹斜筋は、腹横筋と共に筋膜を介して大腰筋と繋がります。
大腰筋は横隔膜とも繋がり呼吸にも関係してきます。これらはインナーマッスル(青色の筋肉)です。
[肩が壊れる理由]
ここで一旦、肩の解剖学をまとめながら、肩が壊れる理由を説明します。
・腕を自由に動かすには、5つの関節がある。
・肩甲骨は不安定で、そのせいで固まる筋肉がある。
・固い筋肉があると、関節の動きを制限することになる。
・1つの関節の動きが悪いと、他の関節に負担がかかり、痛みを引き起こす。
・使えていない筋肉は前鋸筋。
そのため、前鋸筋がしっかり効いていて肩甲骨が安定的に動けるようになれば、他の関節に負担をかけない肩になります。
[家で出来る前鋸筋の体操]
〔体操1〕
・脇の後ろ側を掴む。
・掴んだまま、腕を後ろに5回まわす。
・次に前に5回まわす。
動画はコチラ↓
https://www.youtube.com/watch?v=rAkCAfS3zsY
〔体操2〕
・前にならえの状態を作る。
・この状態のまま脇を締める。
・指先を前に突き出す。
・そこから戻す。
・これを10回行います。
*注意点として、肩をすくめた状態で行いやすいですが、脇を締めて肩は下がった状態で行うことがポイントです。
動画はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=FsmCUIcqPKE
どちらの体操も10秒で出来ますので、やって見て下さい。
前鋸筋が使えるようになると、僧帽筋上部などはゆるみやすくなり、首回りがすらっとしてきます。
【臨床のポイント】
肩のテストの中に前鋸筋テストがありますが、前鋸筋は腹斜筋を介して反対側の骨盤にまで影響を及ぼします。その影響で股関節の機能と関係してきます。
そのため、肩の局所評価を行って問題がなければ、以下の点のチェックもしてみて下さい。
・体幹の安定性
・股関節機能を含む下肢機能
・手の突き指などの既往歴は忘れている人が多いので、その指と関係する筋膜のライン
是非、確認してみて下さい。
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【ヨガで脚が細くなる人/太くなる人】
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