小柄なのにすごい力を出すことができる人は、スポーツ界に多くいらっしゃいます。
サッカーFCバルセロナのメッシ選手や、
日本では、西部ライオンズの森友哉選手
などなど、
どこからその力が湧いてくるのか、身体の大きさだけに目を向けると疑問に思うことがあるかと思います。
筋肉が優れているから、といった意見で納得される向きがありますが、それだけではないはずです。
彼らは、身体の使い方が抜群に優れているのです。
[テコの原理とモーメントアーム]
ここで、ちょっといっしょに考えてみたいことがあります。
例えば、小さなお子さんをお持ちのお父さんであれば、子供を腕にぶら下げてあやすことがあると思います。
肩にぶら下がられても平気なのに肘や手に近いところでぶら下がられると相当キツくなります。
これは、子供がぶら下がる位置(作用点)が手に近づくにつれてモーメントアームが長くなり、肩関節を軸とした回転する力が大きくなるためです。
例えば、野球の投球動作では肩甲骨が立つように動くかどうか(立甲ができるかどうか)がパフォーマンスに大きな影響を与えます。
立甲によって肩の回転軸がより体幹に近づき、腕を振り下ろす際に肩周りの多くの筋肉のモーメントアームを長くすることができます。
それにより、小さな筋出力で高いパフォーマンスを発揮することができるようになります。
*モーメントアームとは回転軸と作用線を垂直に結んだ垂線のことをいいます。
同じ力であってもモーメントアームが長ければそれに比例してモーメント(回転する力)は大きくなります。
『肩甲骨の立甲ワーク』
①:「前にならえ」を行い、指先を遠くの方に突き出して、肩が挙がらないように脇を締める。
②:①の状態をキープしながら手の平を返して(掌屈させて)壁にもたれかかる。
③:①の状態をキープしたまま、胸を壁に近づけるようにする。
野球選手に限らず高い能力がある選手は、全身の運動の支点を上手に使い分けています。
運動の支点を切り替える(ズレる,ズラす)ことを支点揺動(してんようどう)といいます。
支点揺動を上手く行うためには、しなやかな身体が前提となります。
ガチガチに筋肉を鍛えてしまって、運動能力を落とす人は少なくありませんが、その理由の一つが支点揺動を行えなくなる点にあります。
支点揺動の能力を伸ばしつつ、筋肉を鍛えれば良いのです。
今後、スポーツ上達の上で欠かせない支点揺動について、さまざまな競技を例に挙げて書いていきたいと思います。
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