
廿世紀浴場。台東区日本堤1-34
1989(平成1)年2月19日
東京ではあまり例のない洋風の外観の銭湯として有名だった。1929(昭和4)年の建築である。土手通りから横丁を入ったところ、あるいは「いろは会」商店街の裏手、といった立地だった。「山谷」といってもいい所かもしれない。2007年12月31日で廃業し、建物は1年間くらいはそのままになっていたようだが、今は住宅が建っている。
内部の設備の配置は、一般的な和風の外観の銭湯と同じなのだという。正面中央に前に出した入口を置いて、その両側に小さい庭を囲む塀を設置するというパターンは、戦前の銭湯に共通したものだ。問題はなぜ洋風デザインの外観を採用したかだが、創業者の嗜好や経営戦略に係わるのだろうとしか想像はいかない。銭湯とはこういうもの、という固定観念はもっていない人だったのだろう。
スクラッチタイル貼り、縦長アーチの窓と丸窓、雷文を入れたスペイン瓦の塀、アールデコ風の塔屋状のもの、といったところが特徴。入口の引き戸は洋風から外れる。ここはもう少しなんとかならなかったか、と思ってしまう。

2005(平成17)年7月31日