流れ星 -6ページ目

流れ星

思いつくままに書いた二次作品などの保存場所。某所で書いたものも含みます。勿論、私が勝手に書いているだけなので、どことも関係はありません。


「何で…」

窓の外を睨み、恨めしげに呟く私の後ろから、笑みを含んだ声がする。

「そない地の底から響く様な声やと、雨雲も怖ぁて動けんよ」

この梅雨は雨が少ない。
朝は艶やかな紫陽花を
晩は華やかな星空を見せてくれる事が多かった。
だから、今日は用事ついでに一緒に出かける約束していたのに…
朝からの本降りで、台無し。

「折角秋斉さんが誘ってくれたのに…」
「何や、わてが普段つれのうしてる様な言い草やね」
意地悪を言う時の顔はいつも少し楽しげだ。
そうじゃないですけど、と肩を落とした私を、くすりと笑う。

「わては別に、構へんよ」
梅雨の湿度なんてどこへやら。
この人は年中涼しげな顔と香りで扇子を揺らす。

「その分の時間はあるさかい…ゆっくりしとったらえぇ」
それとも…と
扇子の動きを止めてその向こう側からこちらを見やる。

「わてと部屋に籠っとるんは、嫌?」
そう訊ねる目線がやけに艶っぽくて心臓が跳ねた。
言葉の出ない私をよそに、雨は降り続ける。

すっかり動けなくなった私に、秋斉さんは苦笑を零した。
「冗談や。…何もせんから、安心しぃ」
パチンと扇子を閉じると、抽斗から包みを取り出して私の手に乗せた。

「わぁ!」
中身はとても可愛らしいお菓子。
「ほんまは仕事終りに、お疲れさんてあげようか思てたんやけど…まぁ折角や、今食べよし」
「有難うございます!お茶、淹れてきますね」
微笑んだ彼を残し、準備に出た。


考えてみると…3人でない、2人だけでのお茶は今まであまりなかった様な。

…うん。たまには雨で、お出掛けが無しになるのも悪くはないかも。

渋めのお茶を入れ終えた私は、珍しく帳簿を開かずにいる人の元へ急いだのだった。




***


インドア派の私は、お家デートも好きなので…それで(笑)