「ほんに、あんさんはかいらしい。わての腕の中に、ずぅっと閉じ込めておきたい」
この人は
切れ長の瞳を優しく細めて、長い指で私の前髪を梳き、
甘い言葉を囁き続けて私を幸せにしてくれる。
でも、ずっと気にかかっている事があるのだ。
それは私にとって、大切な事。
「ほんにかいらし…わての、子猫」
「俊太郎さま…」
首を傾げて続きを促す、その様にも漂う色気。
でも、今日こそは。
「あの…私、イヌ派なんです」
「………は?」
その整った容貌に似合わぬ声が彼から出る。
「俊太郎さまはいつも私の事を子猫に例えて下さいますが、私としてはそれは微妙なんです。
何より私は吊り目というより垂れ目で、自他共に認める犬顔なんです。
それに気まぐれにあなたに寄り添うというよりはずっとお傍にって感じですし…
正直犬としか言い様がありませんよね?」
マシンガンの如く喋り続ける私の瞳に映るのは唖然とした彼の顔。
「他にも色々お伝えしたい事はあるんですが、取り敢えず私が言いたいのは
『子猫』じゃなくて、『子犬』が良いってことなんです!」
そう締めくくった私に、俊太郎さまも暫くは二の句を告げずにいた。
しかしそこは流石に大人の男。
ふ…といつもの微笑みを取り戻すと、沈香の香りの中に私を閉じ込めた。
「そら、気付かんで堪忍。あんさんの気持ちは、よぅく解りましたえ。ほな今度からは、あんさんの言わはる様にしまひょ。…わての、かいらし子犬やさかい」
その言葉を受け、嬉しいです、と彼の背に腕を回した私は胸いっぱいに彼の香りを吸い込んだ。
うん、とっても満足。
何か、違う気もするんだけど…
…ま、いっか!
***
何で、子猫ちゃんとは言うのに子犬ちゃんとは言わないの?
そんな疑問から…w
ご、ごめんなさい(´・ω・`)