《 京都古寺を巡る 》
- 寺社巡りが楽しくなる京都ガイド -
本テーマ 11
〈 詩 仙 堂 〉
詩仙堂は、京都市左京区にある、
江戸時代初期の文人石川丈山の山荘跡。
国の史跡に指定されている。
現在は曹洞宗の寺院でもあり丈山寺という。
丈山が数奇を凝らした
深山幽谷の景
= 丈山の美意識が息づく
希代の趣味人の元山荘 =
石川丈山(1583-1672)は、
漢詩をはじめ、書道、茶道、作庭などに精通した
江戸時代初期を代表する文人で、
もとは徳川家康の臣下であった。
大坂夏の陣の時、
戦功をあげたにもかかわらず、
軍律違反をしたため家康の怒りを買い、武士を辞した。
詩仙堂は、
この丈山が人生の後半の31年間、
隠棲した山荘の跡だ。
元々は、
凹凸窠(でこぼこした土地に建てられた住居)と
名付けられた住まいだったが、
その一室だった詩仙の間が由来となり、
「詩仙堂」と呼ばれるようになった。
1641(寛永18)年の造営で数々の部屋や庭は
住時そのままの姿が残され、
丈山の美意識・世界観が偲ばれる。
1928(昭和3)年に史跡に指定され、
1966(昭和41)年に曹洞宗の寺院となった。
= 心静かに、ゆったりと
庵にたたずみ、庭を愛でる =
竹で作られ、苔むした屋根が趣深い
表門・小有洞をくぐると、
そり先には、両脇を竹林が覆う石段が続く。
更に先にある2つ目の門・老梅関の奥に広がるのは、
丈山の趣味がすみずみまで生きる唐様庭園だ。
梅や藤、杜若、サツキ、紅葉といった
草花の美しさは勿論、
注目したいのは、
自然の地形と人工物の調和の妙。
鹿おどしや茶室などの人工物が、
凹凸窠と呼ばれたデコボコの地形に沿って、
絶妙のバランスで配置されているため、
見る場所や角度、高さによって
全く別の風景が浮かびあがります。
また、
歌仙の間では、
紀貫之や小野小町らが選出されている
日本の三十六歌仙にならい、
丈山が独自に選出した
中国三十六詩仙の肖像にも注目!
杜甫や李伯をはじめとした
日本でお馴染の詩人たちの姿を、
添えられた詩と一緒に鑑賞出来ます。
詩仙の間の隣が、
「猟芸巣」と名付けられた書院。
その階上に「嘯月楼」と名付けられた小楼がある。
「猟芸巣」は、
丈山が読書や勉学に励んだ部屋で、
前面には唐様庭園が広がっています。
★姿を変える唐様庭園★
白砂にサツキの丸い刈り込みを
バランスよく配した回遊式庭園で、
100種ほどの花が咲く。
山の斜面や谷間を利用した庭園には
小山や茶室、添水が配され、
桂離宮や渉成園の修復にも携わった丈山の
美意識と自然が絶妙に調和している。
★中国三十六詩仙像を掲げた詩仙の間★
丈山は日本の三十六歌仙にならい、
中国の三十六詩仙を独自の選定。
四畳半の小さな一室・詩仙の間の四方の壁には
狩野探幽筆の36枚の詩仙像が掲げられている。
選定には林羅山も参加し、
漢詩は丈山が自ら隷書体で書いた。
★庭に響く鹿おどし★
中央が固定された竹筒に水を引き入れ、
水の重さによって傾く仕組みだ。
水をこぼすとその反動で、石を打ち、高い音が鳴る。
丈山が庭を訪れる猪をおどかすために
設置したと言われ、
正式名称は添水(僧都)。
- DATA -
《 場 所 》
京都市左京区一条寺門口町27
《 交通アクセス 》
市バス停一条寺下り松町下車、徒歩7分
《 拝観時間 》
9時00分~17時00分
《 拝 観 料 》
¥500
~注意事項~
5月23日の丈山忌のため、
拝観出来ません!
※※※※※※※※※※
★ 龍虎 俊輔 ★
※※※※※※※※※※