正午。
目覚まし時計のアラームより早く目覚めた峰子は、出かける前にシャワーを浴びた。
家にシャワーのある生活は、生まれて初めてだ。
これが、思った通りとても快適なのだった。
峰子は、シャワーの便利さに感動しつつ、スッキリして柴田弁護士法律事務所へ向かった。
時間通り事務所に着いた峰子は、祐二から、提訴した二件の民事訴訟について現況報告を受け、数枚の書類を見た。
峰子は、その書類にシッカリ目を通し、頷いて言った。
「了解いたしました。このまま進めてください。どうぞよろしくお願いいたします。」
「はいお任せください。次にミスコンの件です。面接は金曜日の午前10時からです。」
「場所は?」
「天満橋のОmビルの3階です。入口の受付で名前等の照会をした後、呼ばれるまでは待合室で待機だそうです。」
「人が多そうですね。」
「はい、時間で振り分けた1000人を面接した中から、100人を選ぶのだそうです。」
「10倍ですね。」
「ええ。でも僕は、何となく大丈夫な気がしてます。」
「ありがとうございます。頑張り過ぎずに社会勉強してきます。」
峰子は、こういう根拠のない自然な感覚や、何となく感じるモノを、大切だと思っている。
だから、既に結果が判ったように感じている祐二の感覚を、峰子は信頼していた。
峰子自身も同じように感じていたからだ。
参加証や面接についての説明や注意等、必要な書類を祐二から受け取ると、峰子の中に実感が湧いてきた。
ひとつの方向へ導かれるように、物事が流れていた。
峰子のやりたい事がそこに在る限り、そしてそれが、他人と自分が幸せになるモノである限り、峰子は流れのまま進んで行こうと決めていた。
もし行き先が違ったら、天が教えてくれるから、峰子は安心して愉しめばいいのだ。