示談と退学手続きが終わった後、峰子は柴田祐二と山口亮介の3人でそのまま視聴覚室を借りて、今後の打ち合わせをした。
坂本親子への対応について、理事会における坂本朝治の発言に対する証言等を含め、協力できる所は協力しましょうという、大人のお話だ。
峰子はこの二件の殺人未遂事件について、警察に被害届を出しているが、民事告訴はこれからだったのだ。
山口弁護士は峰子に言った。
「全面的に協力しますので、何でも仰ってください。」
峰子が応える。
「ありがとうございます。とても心強いです。」
見事な利害の一致であったが、それだけではなく山口の信念が熱く動き出したのを、祐二は感じていた。
祐二が言った。
「先輩、峰子さんは今後ミスビューティワールドの日本大会に出て、そこでスピーチをされますが、こちらの学校の事には一切触れませんのでご安心を。理事の皆さんにもその旨お知りおきを。焦って心配される事がありませんように。」
「そうなんですね!解りました。きっと理事たちは全力を挙げて峰子さんを応援しますよ(笑)」
「ありがとうございます。柴田先生のご助言でこんな素晴らしい機会を頂いたので、付きまといや虐待やイジメで辛い思いをしている人たちへエールを贈りたいんです。今後はそういう活動を通して、私の経験をお話しする事で、少しでも誰かの明日が明るくなれば嬉しいなって。」
峰子の言葉と共に、愛のエネルギーが祐二と山口のハートに届いた。
「それは、何と素晴らしい!」
「はい、ホントに、素晴らしい事です!」
二人の弁護士の心が、峰子の発したエネルギーに感応して動いた。