その後、食事会は青木の不機嫌な態度と嫌味な発言でシラケたので、早々にお開きとなった。
帰りの車中での会話。
峰子は代わらず博美の車の助手席にいて、後部座席には石本と岩田がいた。
「山本さんね、すっかり体調が回復して昨日退院しはったのよ。」
岩田が嬉しそうに言った。
「ホンマか!そら良かった。元気にならはったんやな。」
「うんうん、顔色も戻ってホンマ良かったわ。」
「そうか~。」
「それでね、水曜日私が帰る時に、世話になったな~言うて通用口まで降りて見送ってくれて、オマケに上手いコト坂本先生から逃がしてくれてん。」
石本が厳しい表情で言った。
「よっぽどヤバいんやな。で、峰子、そのバイト辞めるんやんな。」
「うん、昨日婦長さんに、辞めますって電話した。」
「そうかそうか。」
「でも、来週だけは出勤してくれって言われたのよ。」
峰子以外の人が、それぞれ唸った。
博美が大きな声で言った。
「そんなんブッチして、行かへんかったらえぇやん。」
「そういう訳には…う~ん…家も知られてるかも~やし。」
何かを考えていた石本が低い声で言った。
「履歴書な。多分、見られとるやろな。」