つづき…
この日、私はいつものように仕事に行き、魚屋で、威勢良く暴れていました。
ペットショップに行く段取りは、鯛子にしっかり説明しましたし、きっとちゃんと出来るでしょう…
そろそろ行ったかなぁ?なんて思っていたら、
今からペットショップに行ってくると、鯛子から電話がかかってきました。
カメちゃん、助かるといいね…
仕事を終えて帰宅すると、小さなプラスチック容器を手に持ち、私に見せに来ました。
まるでコップのような形をしたその容器には、蓋がついていて
中には薄く黄色い液体と、その中に、小さなカメちゃんが入っていました。
『薬買えたんだ!良かったね!』
その日の出来事を、鯛子とオコゼが、興奮気味に話してくれました。
ちょっと距離のあるペットショップまで、
鯛子とオコゼ、友達のミィちゃんの三人は、自転車を漕いで向かいました。
そこは、この辺りでは大きなペットショップで、ペット用品なら、何でも揃います。
熱帯魚などが多く売られているある一角が、カメちゃん達の仲間も売られている売り場です。
きっと、あそこだね!
三人は緊張の面持ちで向かいました。
犬や猫のコーナーには、優しそうなお姉さんがいたらしいのですが…
カメちゃんのコーナーには、若い男性スタッフしか見当たらなかったそうです。
見ると、それは今風の若者で…
人相も若干悪い(笑)
バンドマンのように見えたそうです…
髪は派手に染めて、ツンツンに立てている。
ジーパンにTシャツにエプロン姿ではあるのだけど…
ちょっと話しかけにくい雰囲気だったそうです。
『ちょっと怖そうな人だね…』
まぁね、まして小学生の女子三人ですから…
尚更声はかけにくいかな…
他に店員さんはいないかと、三人でウロウロ
すると、女性店員さん発見!
しかし…どうやら他のお客様と話し込んでいる
忙しそうで、まだまだ話し終わりそうにないorz
仕方ない…
鯛子は勇気を振り絞って、恐持てのバンドマン(に見えるだけ)の彼に、声をかけました。
『あの、すいません…』
彼は無愛想に返事をした。
『ペットのカメが病気なんです。
お母さんが、ペットショップに薬が売ってるから、お店の人に聞いておいでって…
お薬ありますか?』
内気な鯛子にしては、良くできました(花丸)
お兄さんは、恐持ての顔から一変、にっこり笑ったそうです(かなりホッとしたらしい)
『病気って、どんな状態なの?』
鯛子は、カメちゃんの様子を詳しく話しました。
するとバンドマン(あくまで想像のバンドマン)
それは、多分皮膚病だね。
カメには結構多いんだよ。
と、親身に話し出してくれたそうです。
『お薬は売ってるけど…
高いよ?お金は大丈夫?』
『お母さんが高いって言ってた!でも、ちゃんとお金は貰ってきたから大丈夫!
5000円持ってきたの!足りますか?』
十分に足りたそうです。
しかしバンドマン…
急に辺りをキョロキョロと伺い出した。
鯛子達三人を、レジの横に手招きした。
『この薬がそうなんだけど…ちょっと待ってね。』
薬の封を空けると、プラスチック容器に流し入れた。
『こんなもんかな…』
また辺りを伺い、お兄さんはその容器を鯛子に握らせた。
『あげるよ。』
薬は売ってるけど、結構高い。
お母さんから貰ったお金で足りるけれど、恐らく、こんなに薬は必要ない。
カメちゃんは、この薬に1日2日つけておけば、多分綺麗になるはずだから…
もし、それでも治らなかったり、またなったりしたら、その時に買えばいい。
お嬢ちゃん達の気持ちに免じて、これはお兄ちゃんが只であげる。
また困った事があったらいつでも聞きにおいで
他のお客さんには内緒だよ。
鯛子は恐縮して、払うと言ったそうですが…
そのお金はお母さんに返しなと、受け取らなかったそうです。
カメちゃん、大事に飼ってもらって幸せだね。
これからも、大切にしてあげてね。と…
絶対に薬を落とさないように、大事に持って帰ったそうです。
『カメちゃん、治るかな…きっと、大丈夫だよね?』
大丈夫。
なんか、そんな気持ちになりました。
お兄ちゃん、有難うね。
それからまた2年…
気付けばカメはスクスクと育ち…
虫かごのような水槽では狭くなって…
ちょっと大きな水槽にお引っ越し…
今では、手のひらよりも大きいくらいで(-"-;)
訪れた客人に
『デカッ(°□°;)』
と、驚かれてる始末でして…
先日、動物病院24時。的な番組を家族で見ていましたらば…
お婆ちゃんが、ミドリガメを診察してもらおうとやって来まして…
その大きさは…
まるで海亀!
人が乗れます!
取材の方が、何歳なのか訊ねたところ…
『もう、30年位になりますかねぇ。
ちょっと大事にしすぎたかしら?オホホッ』
覚悟はしとりましたが…
30年も経つと…
そのサイズでございますか?
うーん( ̄ω ̄)
30年後には…
多分、竜宮城に帰れると思います(笑)
まずは、背中に乗せてもらわないとね。
カメちゃん…
お前、ちゃんと泳げるかい?
乙姫、竜宮城に帰るの巻
でした。
おわり。