橙色に染まった夕焼けの下
波の音を聞き煙草を咥える
今日も一日を思い返す時が来た
有意義に過ごせたとは言えないが
いつもと変わらない小さな幸せを
何十年後かにまた噛み締めるために得た
ふと見た空は赤紫色に染まり
時の流れを寂しげに物語る
明日もきっとそれなりだろう
鼻息を荒げご飯をねだる相棒
さっきまでカモメが飛んでいくのを
不思議そうに眺めていたのに
もうそんな時間かと薄紺色の空を仰ぎ
重い腰を上げスニーカーで砂道をゆく
帰り着く頃には星が一つ色付くだろう
歩幅に合わせ背景に流れていた波の音も
気付けばふと聴こえるほどの大きさに
大丈夫 もうじき遮る壁は無くなる
我が家が見え群青色の空を見上げた
やはり一つ 寂しそうに ただ堂々と光る
一筋の光が僕の目を伝って呼びかけた
今ここに こうして見ている
誰かの身代わりになりたかった訳ではない
がしかし 世間は哀れんだ目で僕を見る
扉の前で立ちすくみ目を凝らす
すぐ隣でうっすらと輝く君を見つけ
辺り一面に仲間を連れていた事に気付く
二階の窓を開け 潮風を取り込んだ
波の音が先より強く 居心地を呼び込んだ
夜空より黒みを帯びた海に懐かしさを重ねる
幾度に胸躍らされ 好奇心に迷い込んだ
暗く広がる空に 身体ごと飛び込んだ
両手を広げ 全身で感じるこの波に恋をした