帰り際のあなたが淋しそうで
車を降りるあなたが切なそうで
肩を落として歩くあなたが哀しそうで
何も言わない僕と求めないあなた
バックミラーに写るあなたの後ろ姿は
いつもに増して小さく見えた
もう手は振れないよ
余計な期待はさせたくないから
あの暗い家に一人帰っていくのね
あの広い家で一人朝を迎えるのね
当たり前だったのは過去の話
それはもう 久しへと変わっていく
足を上げるのが辛そうなあなた
以前なら理由は知っていたのに
今日をその日に伝えていたからか
昨日の行動を把握していたからか
聞いて初めて知ることが多くなり
連絡をしていない事実を思い知る
以前通った道を同じ目的で歩く
以前とは違い 隣ではなく前後で歩く
なんとなくの違和感を
互いになんとなく感じていた
何も言わないのが大人なのか
何も言えないのが大人なのか
作り笑顔とはまた違う微笑み
あの頃のような笑顔ではない
愛想笑いとはまた違う微笑み
いつも通り振舞っているつもりでも
様子を伺いながらの会話を感じる
この時期が終わるのはいつなのか
多くは求めていない
少なすぎるくらいなのか
ちょうど良い関係が今はただ重たく
離れたくとも離れられない
離すこともできない気持ちも
またちょうど良くはない
思い描く理想とは違う現実が
今の目の前にあるものだろうか
それとも求めていた現実なのか
淋しげなその顔も 切なさも 哀しさも
初めは見たくもなかったのに
ふと思い出すあなたの顔は笑顔ではない
帰り際の僕は淋しそうで
車を走らせる僕は切なそうで
肩を落とした僕は哀しそうで
何も言わないあなたと求めない僕
バックミラーを見る僕の姿は
いつもに増して不安気に見えただろう