ひんやりと寒さが部屋に溜まってきた頃
あなたはいかがお過ごしでしょう
あの頃と変わらず髭をあしらえて
小さく震えているのでしょうか
あの壊れたコーヒーメーカーは
もう直していただけましたか
十年前のことを今更昨日のように話しても
あなたはもう忘れていますでしょう
あなたが今どこで何をしているのか
今の私には全く把握できていません
あの頃の思い出はとても暖かかった
何をするにも初めての経験で
全てが新しく そして物珍しかった
お揃いの指輪も 助手席での会話も
誕生日のお祝い クリスマス お正月
二人きりという事だけで嬉しかった
布団が自らの体温で暖まりゆく頃
あなたはいかがお過ごしでしょう
あの頃と変わらず大きい車に乗って
家族と共に笑い合っているのでしょうか
あのお気に入りの香りの柔軟剤は
まだ今でも使っていますか
泣いて離れて行ったことを話しても
あなたはもう覚えてもいないでしょう
あなたが今誰と何をしているのか
今の私には全く想像ができません
今でも思い出のあの公園を思い出す
暗闇の中から遠くに聞こえる車の音と
静かに流れる川のせせらぎ
木の柵に腰掛け何を話しただろう
帰りは頬を赤らめ風と共に走る
そして音を立てずに自宅の部屋に戻るだろう
やべぇやべぇと声を押し殺し
嬉しそうに私を見るあなたの顔
今はっきりと記憶が戻りました
なぜか涙が出そうな鼻の痛み
なぜか無性に過去へ戻りたくなる欲
何も先を見ていなかったあの頃が
今の私を見て何を思いましょう
つまらなくなったと嘲笑うでしょうか
大人になったと褒め称えるでしょうか
私にはわかる 痛いほど感じる
初めて会ったあの時を忘れなきように