映画が好きだったね
煙草も好きだったね
僕も好きだったよ
あなたが好きなことも
あなたのことも
黒猫を飼っていたね
名前はなんだっけ
僕にも懐いてくれて
でもやっぱりあなたがいいのね
僕の特等席だったのにね
なんで今さら現れたの
もう忘れた頃なのに
あなたは好きだった人
過去に置いてきた人なのに
大好きだったのに
部屋が真っ暗だったね
模様替えをよくしていたね
僕がいてもいなくても
あなたの生活は変わらないの
そこが良かったんだけどね
二人で撮った写真を飾ってたね
お揃いのものが三つほどあったね
何も言わずに飾っちゃってさ
黙ってお揃いのものをつけたりさ
本当は嬉しかったんだよね きっとね
もう会わないって 会えないって
あなたが言ったんだよ
お揃いの全てが手元にある今
捨てられなかったのはなぜなの
今更現れて 今でも好きだって囁いたの
私を後ろから抱いて 耳元で
珈琲を淹れる時は必ず聞いてきたね
いるのかいらないのか ただそれだけをね
肩が触れ 足が触れ あなたと笑い合うの
他には何もいらない そう思った
あなたもそうだったのかな
肌の温もりが伝わって懐かしかった
今日は休みだったのね
すがり狂ったあの頃も休みだった
なんだか怖くて退けたんだ
あなたがあなたじゃなくなった気がして
あなたを愛していたよね
逢いに行くのが楽しみだったよね
必ず送り迎えをさせていたよね
留守番も苦じゃなかった
帰りを待つのが幸せだった
朝まで飲んで 昼まで飲んで
ご飯を買って 映画を選んで
歩いて帰って 珈琲を淹れて
映画を横目に 腹を満たして
あなたの隣で 抱かれて寝て
それで幸せだったよね
でも先が見えなかったよね
見ていた方向が違ったんだよね
ごめんね 大切な時間を取ってしまって
ありがとう 僕を好きになってくれて