低スペPCでdjay for Windowsは使えるのか | D3 BLOG in 広島

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先の2月始めにDJアプリケーションソフト djay がApple Musicに対応したという知らせを受けて、私も歓喜したユーザーの1人だ。


そこで今回は、所持しているWindowsの低スペックパソコンでdjayを扱うことができるのか。

また、Apple Musicは思っていたような動作をするのか。

これらを確かめるべく、実際に使用した結果を書いていきたい。



使用したデバイス(パソコン)は

Let's Note(Windows11)

CPU:intel core i5 8250U

RAM:8GB

ストレージ:SSD 512GB 内 空き約70GB



併せてdjay for iOSでもApple Musicを使ってみたので、こちらも使ったデバイスを記載しておく。

デバイス:iPhone12 mini (iOS)

チップ: A14 Bionic

RAM: 4GBらしい

ストレージ: 256GB 内 空き約50GB



これらに併せて検証に使用したDJ機材はDenon DJのDS1(DVS)とPioneer DJのDDJ-RR(コントローラー)だ。




djayは元々MacとiOSに最適化したDJアプリであり、WindowsやAndroidではこれらより機能が制限された仕様になっていた。

それが2023年10月半ばにして、Windows版の改善が成され、Mac版と遜色ない仕様になったとされている。(広報記事より引用:https://discpick.com/djay-pro-for-windows/ )



とはいえ、Macでは対応している機材(主にCDJ)等がWindowsでは対応していないものも数多くあるようだ。


djayの使用を検討している方は、下記リンクより公式ページの対応製品リストをチェックしたほうがいいだろう。

https://www.algoriddim.com/hardware




・DVSを使う時の準備


普段使っているSerato DJ Proと比べてdjayのDVS設定はとても親切で簡単だ。


DS1をPCに接続すると案内文が表示され、ガイドに従って選択するだけ。


キャリブレーション設定はアプリ側の操作はほぼ自動で行い、案内文に従ってハードウェアを操作する仕様になっている。操作を誤っていれば指摘の文章が表示されるので、読んでいれば間違えることはない。


コントロールバイナル/CD(デジタル)はSeratoのものをそのまま使うことができる。他社製品も同様とのことだ。

ただし、Neural Mix(STEM)を扱うにはdjay専用のコントロールバイナルでなければ操作できないそうなので注意。

https://www.stokyo.jp/?pid=168615113




・ライブラリ(楽曲)の準備

djayには選べるライブラリの種類が多く、列記すると以下のようになる。


・マイコレクション

 (アプリ内でのプレイリスト管理)

・Apple Music

・iTunes

   (PC内のiTunesのプレイリスト等を反映する)

・TIDAL

   (日本では利用できない)

・Soundcloud

・Beatport

・Beatsource

・djay music

 (アプリ独自のストリーミングサービスが使用できる)

・ローカルミュージック

   (PC内の楽曲)

・ファイル

   (フォルダを直接指定して開く)



※これらの名称はWindows版では表示されておらず、上に添付したiOS版のメニューより引用した。また、Windows版とiOS版とではアイコンのデザインが若干異なる。



今回使用したパソコンにはだいたい36000曲入れている。

これらをアプリに認識させるべくローカルミュージックを選択したが、インポートするフォルダを指定する項目が見当たらない。


どこかにあるに違いないと試行錯誤して探した結果、Windows標準のメディアプレイヤーがリンクしていることを確認した。






インポート作業はローカルミュージックを選択してしばらく経つと自動で開始される。


このインポートがSeratoやrekordbox等と比べてとてつもなく遅い。

また自動インポートをOFFにする項目も見当たらなかったので、事前準備は余裕をもって行なったほうがいいだろう。

(高性能PCであれば気にならない程度になるかもしれない)



また、メディアプレイヤーでプレイリストを作成してみたがdjayに反映されない模様。

(将来、改善する可能性はあると思う)


djay内でプレイリストを作成するにはマイコレクションをブラウザ上に展開し、各ライブラリからプレイリストに加えたい楽曲を選択し、ドラッグ&ドロップで加えられる。


(上がマイコレクション、下が別ライブラリと分割表示できる。


iTunesを普段活用しているユーザーはiTunesのプレイリストがdjayアプリ内に反映されるのでこちらの方が便利だと思う。


またApple Musicも同様にプレイリストが反映されることを確認したので、Apple Musicをスマホ等で普段使われているユーザーなら、場所を選ぶことなくプレイリストの構築をおこなうことも可能である。




・解析

楽曲の解析処理速度は体感ではrekordboxと同じかやや遅い感じだ。


時間はかかるが、ピッチレンジを指定しない場合、ワイドレンジでBPMを測定する仕様のようなので、個人的にはSeratoよりも好印象だ。



ただ、全曲を自動解析中にアプリを最小化表示にしたり他のブラウザを被せたりした後に再表示すると解析状況を示す小窓が消えてしまい、

その状態で再度、全曲自動解析を実行すると、数字が累積されて36000曲が72000曲を解析する予定の表示に変わる、バグ症状が発生する。

(解析中の表示は消えてもバックグラウンドで解析していそうな気もするが、楽曲数が多過ぎてどの曲を解析しているかわからないため、観測できていない。)

(iOS版でこのようなバグ症状を観測したことはない)




動かしてみる

まずRAM8GBのパソコンに36000曲を認識させて初動操作を行うとはRAM使用率が70%前後、操作が増えると80%を超えることを確認した。

ライブラリ等の操作はカクカクして、ローディングはかなり遅い。



CPUの使用率は平常時で30%前後、ライブラリスキャン時や各操作を行うと一時的に60%前後を確認したりもしたがRAMの使用率に比べて安定している。そのためかバッファレートを最小数値(最速)にしても再生音に異常はなかった。

※上記したRAM使用率とCPU使用率はdjay単体のものではなく、インターネット接続状態のWindows11標準タスクとタスクマネージャーの動作を含んだものである。



経験則だが、CPUよりもRAM容量が不足していることの影響が大きいと思われ、複数のタスクを同時稼働させると数字は未確認だが強制処理落ちが発生することも確認した。


Seratoやrekordboxではこの楽曲数をライブラリにインポートさせてプレイできたことを考えると、djayの必要とするスペックは他社アプリに比べてかなり高いものを要求するようだ。



ライブラリが認識した楽曲数が操作スペックに大きく影響を与えていることは、Apple Musicで約1000曲足らずをインポートしてプレイしたことで確証がとれた。


先述の36000曲をdjayライブラリから排除することで、各部の操作がスムーズになった。



ただし、ストリーミングサービスであるAppleMusicはネット回線の速度に依存するため、スマートフォン経由によるテザリングでは読み込みやスキャンに時間がかかり、これらのタスクが重複していると重度の動作不良を確認したので、djay立ち上げ直後は状態が落ち着くまで、少し様子をみる必要があるようだ。


自宅の光回線を接続した状態だとこれらの事象は解消され、極めて快適に操作することができた。

高速なWifi環境が現場に欲しいところだ。




・使いやすさ

画面レイアウトやMIDI、オーディオ等のセットアップは他社に比べて簡単かつ自由に機器を設定することができるので、各所の使い方を覚えさえすれば他社アプリ同等かそれ以上に扱えると感じた。


しかし、漢字表記が日本語らしからぬものになっていたり、ショートカットキーの説明、各アイコンの説明が他社アプリに比べて、不便であったり説明がなかったりする箇所が目立ち、先述した各項目の仕様等を含めて、全体的にわかりにくい。




・djay for Windowsのレビュー

現行のdjayはサブスクリプション契約によるライセンス認証を行えば国内で流通している多くのDJ機器を扱うことが可能になっており、Seratoや rekordboxよりも機器の選択肢が多いのはユーザーにとって嬉しいポイントである。


加え、他社アプリに対して優位を示しているポイントとして、モバイルデバイスとパソコンの両方でDJをすることができ、ミックスへのアプローチが日常の時間で効率的に行うことができること。

これにApple Musicが組み合わさったことで、即座に、低価格かつ定額で、最新の多くの楽曲にアプローチできることである。

BeatportのようなクラブDJ向けのストリーミングサービスは他社DJアプリでも利用できるが、ここ日本ユーザー、特にアマチュアユーザーにおいてポップミュージックに強いAppleMusicが活用できるのが、現時点でdjayだけというのはとても大きなアドバンテージと言えるだろう。



しかし、先述したように誤表記や無駄なタスクがあり、ユーザーにとって障害になる要素が目立って存在すること、特にWindows版はMac版とは違ってPioneer DJ製CDJ等に対応していないので、クラブ常設機を操ることができないことはWindowsユーザーにとっては大きなマイナスである。



結果、現時点では他社DJアプリと比較して絶対的にオススメできる位置にはなく改善が望ましいが、その時が来たなら間違いなく最高のDJアプリと呼べるだろう。



....とは言うものの、現iOS版のdjayが個人的に既に最高のアプリだ。

Windows版にはないVJ(ビデオミックス)機能も備えており、そしてiOS版はMac版に準拠している。

つまりdjayの全てのサービスを使いたいユーザーは、Macを買ってしまえばWindows版の課題は解決するだろうと思っている。

(Macbookも絶対的に優れているとは言い難い点が個人的にいくつかあるので、一切文句が出ないDJマシンにはならないだろうとも思っている。)




・おわりに

結局、低スペックのパソコンでdjay for Windowsは使えるのか?というお題だが、


答えは

限定的使用に留める

ということにした。


Apple Musicを使ったDJだけなら全く問題ないが、膨大な楽曲データを管理しつつDJに使っていく私には運用が難しい。



今所有している全ての楽曲をインポートしても高速で動作する高性能なパソコンが欲しいよね。




Ed