「…どうしたんだい、セナちゃん。
また、汚い人間の世話でもしてるの?」
後ろから、男が近付いて来るのを感じた。
図体もそれなり(に貫禄がある体型)である。
どうやら、こいつが町を牛耳っている独裁者のようだ。
「そんなのはやめなさい。
汚いのがうつって、使い物にならなくなっちゃうから。
そういえば、もうじき…税金の納入日だよね…。
払えなかったら…わかってるよね?」
もう、出てくるだけで嫌なオーラを出す男である。
「…あいつは…。」
レオンが尋ねる。
「町長のランボルギーニ。
勝手に町に来て、勝手に政治を推し進めてる。
彼のせいで、町の大半が飢えてしまったの。」
と、アスカ。
明らかにヤバい表情である。
「ほー。
そんな悪党が本当にいやがったのか…。
史上稀に見る、最悪な政治家がよ…。
(だが、さっきの奴…一応、政府の紋章をつけてた…。
しかし、こんな政治で…よく政府から処罰が下らないよな…。
となると、まさか…政府が…。)」
「アスカ…何やってんだよ。」
「!!
なんでもない!!
それよりな、腹へってねぇか?
よかったら、飯でも作ろうぜ!!」
一応、誤魔化しのつもりだ。
が、レオンには…
「あ、いいね。
それ…いいかも。」
完全に『ボランティア』に思われた。
もちろん、
「みんなに恩返ししたいんだよ。
ご馳走にありつかせてあげたいな。」
セナも。
「(個人的に腹が減っただけなんだけど…いっか。
これでクーデターを起こすきっかけを…。)
決まりだな。
とりあえず、レオンは調理場の準備をしておけ。
ワシとセナで食糧を確保する。
それで行こう。」
「で、面倒なのはオレ担当かよっ!!
ま、別にいいや。」
こうして、食事の準備が始まった。