このブログを書き始めてから、レンタルCDやApple Music て見つけた、これまで聴いていなかったアルバムについて記事を書いてきましたが、昔から聴き込んでいるものでも、好きなアーティストの良い時期のアルバムについては、徐々に記事にまとめていこうと思います。
さて、今回は以前、1stアルバム http://s.ameblo.jp/ryusyun-sun/entry-12021245542.html とライブ・アルバム『Waiting For Colon』http://s.ameblo.jp/ryusyun-sun/entry-11884687297.html を紹介したリトル・フィート、1972年の2ndアルバム『Sailing Shoes』
Sailin Shoes/Little Feat
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Track Listing
1.Easy To Slip
2.Cold, Cold, Cold
3.Trouble
4.Tripe Face Boogie
5.Willin'
6.A Apolitical Blues
7.Sailin' Shoes
8.Teenage Nervous Breakdown
9.Got No Shadow
10.Cat Fever
11.Texas Rose Cafe
ネオン・パークのイラストによるジャケットはこの2ndアルバムから始まります。
ネオン・パークはフランク・ザッパのマザーズ・オブ・インヴェンションの1970年のアルバム『いたち野郎 (Weasels Ripped My Flesh) 』のカバーアートで注目されたイラストレーターですが、当時、マザーズに在籍していたローウェル・ジョージと意気投合してフィートのアルバム・カバーを手がけるようになったようです。
いたち野郎/フランク・ザッパ
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以下のオリジナルの4人組メンバーとしては最後のアルバムです。
ローウェル・ジョージ(guitarvocal/harp )
ロイ・エストラダ(bass)
ビル・ペイン(keyboard/vocal )
リッチー・ヘイワード(drums )
次作、『Dixie Chicken 』からはベースがロイ・エストラダからケニー・グラットニーに交代した他、2人目のギタリストとしてポール・バレア、パーカッションのサム・クレイトンが加入し6人編成になります。
新生リトル・フィートは分厚いファンキーなサウンドが特徴のバンドになるのですが、今作のフィートはブルースやロックンロールを基調としたシンプルで力強いサウンドを聴かせてくれます。
このようなサウンドの印象を決定づけているのは、ローウェル・ジョージのハウリン・ウルフばりのヴォーカルとコンプレッサーの効いたスライドギターよりも、リッチー・ヘイワードの重量感溢れるドラミングではないでしょうか。
彼のヘビーなドラミングが存分に楽しめる"Cold, Cold, Cold"から、お聴きください。
この動画にはネオン・パークによる歴代のアルバム・カバーも登場します。
ジミー・ペイジがボンゾに「もっと、リッチーのように叩け」と言った、このドラムです。
次作からはサム・クレイトンのコンガとのアンサンブルを重視したドラミングに変わりますので、尚更、今作のリッチー・ヘイワードのドラムスは特徴的に感じられますね。
このアルバムには、後のライブでもよく演奏されるリトル・フィートの重要曲が多数、収録されています。
こちらのアップテンポのロックンロール・ナンバー"Teenage Nervous Breakdown"もよく演奏されていた曲です。
6人編成になってからの、彼等のライブでの演奏をお聴きください。
この曲や先ほどの"Cold, Cold, Cold"、他にも"A Apolitical Blues"などローウェル・ジョージがコンポーザーとしての力量を遺憾無く発揮した曲、リッチー・ヘイワードがビル・ペインと共作したブギー・ナンバー"Tripe Face Boogie "など、ライブ向きの曲が粒揃いだという点では、このアルバムが一番かもしれませんね。
さて、現在も曲作りとリードヴォーカルでフィートを牽引しているキーボード・プレイヤー、ビル・ペインの曲も1曲聴いておくべきでしょう。
これまたリッチー・ヘイワードのタメの効いたドラムスがいい、ブルージーなナンバー"Cat Fever"
ご覧いただいた映像は再結成後のリトル・フィートのライブ映像。
この時には、その力強いドラムスも健在だったリッチー・ヘイワードも2010年には亡くなり、現在、オリジナルメンバーはビル・ペイン1人になってしまいました。
ビル・ペインはその腕を買われて、数々の著名アーティストのレコーディングに招聘されています。有名なところではドゥビー・ブラザーズの初期のレコーディングに各種キーボード担当としての参加でしょうか。
さて、ロック寄りのハードな曲を聴いてきましたが、フィートのアルバムはカントリー系の曲も聴きもののひとつ。
やはり、聴くならこの名曲"Willin"でしょうか。
以前、リトル・フィートの1stの記事を書いたときは、ライ・クーダーのスライドギターをフィーチャーしたオリジナル・レコーディングを聴いていただきましたが、この2ndのバージョンの方が一般的には知られています。
ここではライのスライドギターに代わってスニーキー・ピート・クレイナウがペダルスティールで参加しています。
この曲はドラッグの密売もやっているとおぼしきトラック・ドライバーの歌なんですが、何とも心に染みる味わいを持っています。
ローウェル自身もそのために命を落とすことになるので、ドラッグかいいとは言いませんが、彼等が憧れた前の時代のブルースマンほどの深い苦難を味わっていない、この時代のロックミュージシャン達が精神的な深みに到達するための一つの方法だったように思います。
この曲はローウェル・ジョージが命と引き換えに生み出した、一世一代の名曲と言えるかもしれません。
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