オルタナ・カントリー② サン・ヴォルト | Apple Music音楽生活

Apple Music音楽生活

レンタルCDとiPodを中心とした音楽生活を綴ってきたブログですが、Apple MusicとiPhoneの音楽生活に変わったのを機に、「レンタルCD音楽生活」からブログタイトルも変更しました。

昨年、10月に記事を書いたオルタナ・カントリーの先駆者、アンクル・テュペロhttp://s.ameblo.jp/ryusyun-sun/entry-12087876921.htmlジェイ・ファラーの書く曲と渋いボーカルがすっかり気に入ってしまったので、Apple Musicで彼の作品をかなり聴き込みました。
今回はジェイがアンクル・テュペロを脱退して結成したサン・ヴォルトを紹介してみます。

2005年リリース
Retrospective: 1995-2000/Son Volt

¥1,858
Amazon.co.jp

Tracking List
1.Drown (LP Version)
2.Windfall (LP Version)
3.Route (LP Version)
4.Rex's Blues (Album Version)
5.Looking At The World Through A Windshield
6.Too Early (LP Version)
7.Back Into Your World (Album Version)
8.Picking Up The Signal (Album Version)
9.I've Got To Know (Non Album Track)
10.Creosote (Album Version)
11.Straightface (Album Version)
12.Tulsa County (Single Version)
13.Driving The View (Album Version)
14.Ain't No More Cane (Non Album Track)
15.Flow (Album Version)
16.Holocaust (Non Album Track)
17.Tear Stained Eye (Demo)
18.Loose String (Demo)
19.Medicine Hat (Live Acoustic Cafe)
20.Open All Night (LP Version)



これは、既にサン・ヴォルトが活動を停止し、ジェイ・ファラーがソロ活動をしていた頃に発表されたベストアルバム。
と言っても、さしたるヒット曲がある訳ではないので、1995~2000年の5年間に彼らがレコーディングした未発表を含むすべての音源からベストなものを選曲したコンピレーション・アルバムといったところでしょうか。曲の並びも良く、グランジ系の爆音サウンドとカントリー系の和める曲がバランスよく配置されています。
バーズが『Ballad Of Easy Rider』で演った12.Tulsa County ウディ・ガスリーのカバー⒐I've Got To Know などオリジナル・アルバムには収録されていない曲が聴けるのもオールドファンには嬉しいところ。
B.スプリングスティーンのルーツ系アコースティック・アルバム『Nebraska』収録の20.Open All Night はなぜかApple Musicでは再生不能。残念!

まずはニール・ヤング直系のグランジ・ロック、⒊Routeをライブ映像でご覧ください。



上の世代のアメリカン・ルーツ・ロック系アーティストの演奏の様子と比べると、非常に淡々としています。
貧しい生いたちや人生の苦しみからブルースやカントリーに惹かれたというわけではなく、純粋に音楽としてのルーツ・ミュージックが好きでバンドを始めた人だと思いますね。
衣装もフツーですね。 90年代以降のオルタナティブ・ロックの人たちは普段着で演奏するのが主流らしいです。


次はジェイ・ファーラーの歌声が凄まじいまでにシミジミとしたカントリー系の名曲2.Windfallをお聴きください。
ニール・ヤングを凌ぐ哀愁を漂わせるジェイの歌の真骨頂。



ボーカルひとつでこれだけの哀感を出せる人はザラにはいないですね。
ジェイがこの曲をレコーディングしたサン・ヴォルトのデビュー・アルバム『Trace』の発表された1995年に彼はまだ30歳前。
ロック・アーティストが歳をとるのは通常はハンディだと思いますが、彼のようなアーティストは歳を重ねることが、まったくハンディにはならないと思いますね。



次は軽快で明るいカントリー・ナンバー
⒌Looking At The World Through A Windshield
先の2曲は『Trace』収録のナンバーですが、こちらはオリジナル・アルバム未収録のレア音源。



これはジェイ・ファーラーのオリジナル曲ではないのでカントリーのカバーでしょうね。
YouTubeを検索するとデル・リーブスという人が歌っている動画があったので、おそらく、この人がオリジナルでしょうか。
いや、この曲はいい気分転換になってますね。
ジェイ・ファーラーは深い情感を表現できる非常に良いボーカリストだと思いますが、正直なところ彼のボーカルがずっと続くと少し重たい感じがするのは否めません。例えて言うとドン・ヘンリーしかリード・ボーカルがいないイーグルスのような感じです。
その点、アンクル・テュペロ時代はジェフ・トゥイーディー(現ウィルコ)のジェイよりいくぶん軽いリードボーカルの曲が途中で入るのがいい気分転換になっていました。
私はバンドというのは2~3人以上リード・ボーカルをとれるメンバーが居て、欲を言えば、曲を書ける人もそれくらい居るのがいいバンドだと思っているのでアンクル・テュペロにもジェイとジェフのコンビで『Anodyne』の路線のアルバムをもう1~2枚出して欲しかったですね。
サン・ヴォルトは良くも悪くもジェイ・ファーラーのワンマンバンドです。


さて、最後はデモテープなので音質は悪いですがアコギとハーモニカだけの17.Tear Stained Eye を聴いてみましょう。
ジェイのオリジナルで1995年の『Trace 』ではバンド演奏で収録されている曲ですが、これがフォーク時代のボブ・ディランみたいでいいんですよ。





ジェイ・ファーラーの近年の活動ですが2012年にはウディ・ガスリーの詩に現代のミュージシャンが曲をつけるという企画アルバム『New Multitudes』に参加。

New Multitudes/Farrar

¥2,789
Amazon.co.jp




2013年にはサン・ヴォルトとして4年ぶりの新作『Honky Tonk』を発表。

Honky Tonk/Son Volt

¥2,079
Amazon.co.jp




これはもう、オルタナ・カントリーというよりもカントリー・ロックのアルバムですね。
グランジ・ロックはもう演ってないです。ジェイのグランジをたっぷり聴きたい方はアンクル・テュペロ初期のアルバム『No Depression(1990)』をどうぞ

これらの最近の動画を観るとジェイ・ファーラーは以前よりも肩の力が抜けて、ボーカル自体も淡々としたものになっていると感じられます。更にルーツ・ミュージックへの傾倒が強くなり、音楽的な成熟も見てとれます。
ところがジェイの外見の印象は、髭こそ蓄えているものの不思議と変わってません。
エリック・クラプトンあたりだと実人生と音楽がシンクロしているようなところがあって年齢と共にその風姿は渋みを加え、音楽的にも成熟度を増しているように思えますが、ジェイ・ファーラーの場合は音楽的な成熟と人間としての成熟が無関係に存在しているような印象を受けます。
同じようにルーツ・ミュージックに根差した音楽を演っていても、70年代に活躍したアーティストと90年代以降のアーティストでは、何となく違いが感じられるのはそのせいでしょうか。

Apple MusicSon Voltと検索!